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貿易戦争

バーボンの本場にウイスキー不況、トランプ関税がとどめ

Multiple Kentucky Whiskey Distilleries File for Bankruptcy

2025年8月5日(火)17時49分
ヒュー・キャメロン
上海店頭のアメリカ産ウイスキー

中国がアメリカ製品に対する報復関税を125%に上げた時の上海の店頭(4月11日、上海) Photo by Ying Tang/NurPhoto

<消費低迷にカナダの不買運動、あのワイルドターキーも売れない事態に>

アメリカ・ケンタッキー州の伝統あるウイスキー産業が大きな打撃を受けている。需要の低下、負債の増加、そして不透明な世界貿易環境の中で、複数の蒸留所が破産を申請した。

7月、ダンビルに拠点を置くルカ・マリアーノ・ディスティラリーの親会社であるLMDホールディングスが、登記地であるミシガン州東部地区の連邦破産裁判所に連邦破産法第11章の適用を申請した。

ケンタッキー州のバーボンおよびウイスキー産業は、ケンタッキー蒸留業者協会によると約90億ドル規模とされているが、現在、さまざまな課題に直面している。生活費の高騰で消費者は生活が苦しい上、若年層ではウイスキー離れが進んでいる。またトランプ関税は、カナダで米国産ウイスキーの不買運動に火をつけ、中国の高い報復関税を食らうなど、全米の酒類産業およびその雇用に広く波及している。

裁判資料によると、LMDホールディングスは多額の債務を抱えており、最大債権者に対しては「おそらく2,500万ドル以上」の支払い義務があるとされている。

ルカ・マリアーノ・ディスティラリーのオーナーであるフランチェスコ・ヴィオラは地元紙のレキシントン・ヘラルド・リーダーに対し、今回の破産申請は「すべての関係者にとって残存する資産価値を最大化するため」のものであり、「従業員、顧客、地域社会、債権者の支援を得て再建に成功する見通しがある」と述べた。

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