最新記事
健康

ハーバード大学准教授が語る「メンタル危機」になる前のセルフケア...認知療法で使われる技術とは?

2024年5月30日(木)11時13分
flier編集部

自分の本当の感情に気づくための「ラジカルアクセプタンス」

──モニタリングにおいて、特に意識することが大事な点は何ですか。

モニタリングは4つのステップから成り立っています。(1)自分の感情に気づく、(2)感情を言葉にする、(3)感情の背景を分析する、(4)行動する、です。

なかでも大事なのが、「自分の感情に気づく」ステップで、湧き上がってきた感情を否定しないこと。人は怒りや嫉妬など、誰かに知られると恥ずかしい感情を否定してしまう。そして現状を正当化するために、色々な理由をつくり出してしまいます。

そんなとき、良し悪しのジャッジをせず、フラットに「こういう感情が湧き上がってきた」という事実を認識すると、本当の感情をキャッチしやすくなります。これが「ラジカルアクセプタンス」です。

「受け入れること=相手を許すこと」ではありません。誰かに知られると恥ずかしい感情を抱いてもいいんだよと、自分に許可を与えてあげる。そんなイメージなら、感情を受け入れやすくなるはずです。

モニタリングしたうえで「これは怒ったほうがいいな」と判断したら、「怒る」というアクションをとってもいいんです。感情に流されずに、その感情に気づいたうえでの行動なら、納得感をもてるし、表現方法も変わってくる。モニタリングは、ネガティブな感情をなくすための方法ではなくて、自分の本当の感情と向き合うための方法なんですよね。

newsweekjp_20240528105426.jpg

小児精神科医、ハーバード大学医学部准教授の内田舞氏(本人提供)

──自分の抱いている感情に気づけないときには、どう対処するとよいでしょうか。

1つは、自分の中にある感情を書き出すことです。頭の中で考えているだけだと堂々巡りになりがち。ですが、思いを書き出してみると、「こういう風に考えていたんだ」「この感情はこんな価値観につながっていたのか」などと、連想ゲームのように整理され、自己理解につながっていきます。

まずはモヤモヤを紙に書き出し、その感情に名前をつけていくと、モヤモヤの正体が見えてくる。感情は複雑なものなので言語化が難しいですが、イメージしやすい形で書き出すとよいでしょう。

2つ目の対処法は、身体の感覚を観察することです。胸が締めつけられているとか、筋肉がこわばっているとか。身体の感覚に気づくと、「いま私は、本当はつらく感じているのでは?」などと、感情に目を向けやすくなります。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

NY市長選でマムダニ氏勝利予測、34歳の民主候補 

ビジネス

利上げの条件そろいつつあるが、米経済下振れに警戒感

ビジネス

仏検察、中国系オンライン通販各社を捜査 性玩具販売

ワールド

ロシア石油大手ルクオイル、西側の制裁で海外事業に支
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    「あなたが着ている制服を...」 乗客が客室乗務員に「非常識すぎる」要求...CAが取った行動が話題に
  • 4
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 5
    これをすれば「安定した子供」に育つ?...児童心理学…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    高市首相に注がれる冷たい視線...昔ながらのタカ派で…
  • 9
    「白人に見えない」と言われ続けた白人女性...外見と…
  • 10
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 10
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中