最新記事
インタビュー

蟹江憲史教授が国連から任命されて書いた、SDGs「2030年まであと7年」の現実と希望

2023年12月21日(木)17時25分
森田優介(ニューズウィーク日本版デジタル編集長)

蟹江憲史

Photo:遠藤 宏

――SDGsのさまざまな目標と言えば、特に日経新聞なんかを読んでいるとそうだが、実際の動きもメディアの報道も、最近は「SDGs=気候変動と脱炭素」というようなイメージがある。関心がそこに集中してしまうことの弊害のようなものはあるのだろうか。

(温暖化を抑える世界共通の目標を掲げた)パリ協定がCOP21で採択されたのが2015年12月で、SDGsが国連で採択されたのがその直前、同じ年の9月だった。だからSDGsの気候変動の箇所を見ると、要するに、パリ協定と連動するような書き方がされている。

つまり、(気候変動とSDGsは)双子の関係と言ってもいいので、気候変動を通じてSDGsを考えることそのものは良いことだと思う。ただ、仰るように、気候変動問題だけが突出していて、お金もそこに流れていることは確か。

SDGsはすべての目標がつながっているので、いかに気候変動と他の目標をつなげていけるかが目標達成のカギになるのではないか。予算を取るにしても、気候変動と絡めて貧困の話をするとか、気候変動と循環型社会の構築を関連づけるとか。そういう動きが求められているのかもしれない。

※後編に続く:日本はSDGs浸透度「世界一」、この武器をどう使うかが次の課題だ――蟹江憲史教授


蟹江憲史(かにえ・のりちか)
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授、同大学SFC研究所xSDG・ラボ代表

内閣府自治体SDGs推進評価・調査検討会委員、JALサステナビリティアドバイザー、日本政府SDGs推進円卓会議構成員などを務め、国内外でSDGsや環境問題を中心に多方面で活躍中。国連事務総長の任命を受けた独立科学者15人の1人として、Global Sustainable Development Report 2023 (GSDR 2023)の執筆を行った。専門は国際関係論、サステナビリティ学、地球システム・ガバナンス。SDGs研究の第一人者であり、研究と実践の両立を図っている。主な著書に『SDGs(持続可能な開発目標)』(中央公論新社、2020)など。

ビジネス
栄養価の高い「どじょう」を休耕田で養殖し、来たるべき日本の食糧危機に立ち向かう
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、ハーバード大の免税資格剥奪を再表明 民

ビジネス

米製造業新規受注、3月は前月比4.3%増 民間航空

ワールド

中国、フェンタニル対策検討 米との貿易交渉開始へ手

ワールド

米国務長官、独政党AfD「過激派」指定を非難 方針
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 2
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 3
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 4
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 5
    目を「飛ばす特技」でギネス世界記録に...ウルグアイ…
  • 6
    宇宙からしか見えない日食、NASAの観測衛星が撮影に…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    金を爆買いする中国のアメリカ離れ
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 8
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 9
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中