最新記事

日本社会

転職すべき「隠れた優良企業」を見つけるコツは? 実は国が公開していた

2023年3月27日(月)17時30分
佐野創太(企業顧問、「退職学」の研究家) *PRESIDENT Onlineからの転載

子育て支援の「くるみんマーク」

子育てや介護と両立したくて転職活動をする人はたくさんいらっしゃいます。相談者さんの中には、「仕事は家族を守る手段です」「面接では仕事が一番と言っていますが、本当は違います」と打ち明けてくださる方もいらっしゃいます。

私も子育てや介護がきっかけで、退職した経験を持つ一人です。

利益を追い求める会社の多くは、子育てや介護をサポートする余裕がありません。私自身、面と向かって「子育て中の人は採用しにくい」と言われたことがあります。こちらから願い下げですが、「それが会社の性質の一つ」と知る勉強になりました。

ですから、子育てや介護を両立させたい人は、応募の前段階から「両立を支援している会社」を選ぶことが必須となります。

「両立を応援している会社」を見分ける方法はシンプルです。「くるみん認定企業」を探しましょう。

「くるみんマーク」取得企業とは、「子育てサポート企業」として厚生労働大臣の認定を受けた企業です。「次世代育成支援対策推進法に基づき、一般事業主行動計画を策定した企業のうち、計画に定めた目標を達成し、一定の基準を満たした企業」を指します。厚生労働省は、くるみん認定(くるみんマーク)を受けている企業を、各都道府県ごとに2022年10月末時点で3987企業を公表しています。

介護支援の「トモニンマーク」

さらにレベルアップした「プラチナくるみんマーク企業」も同じようにHPで無料公開されています。厚労省もページの中で「学生・求職者の方は、企業研究の指標の一つとしてもご活用ください」と呼びかけています。

なお、厚労省運営の「一般事業主行動計画」では、企業名を打ち込めば両立支援のための取り組み内容や計画を見ることができます。

厚労省は、仕事と介護の両立を目指す企業も応援しています。

「両立支援のひろば」では「企業が介護離職を未然に防止するため、仕事と介護を両立できる職場環境の整備促進に取り組むことを示すシンボルマーク」を「トモニン」マークとしています。

残念ながら、2022年10月末時点では取得企業の一覧が公表されていません。それでも、一つの目安としてあなたを助けてくれるでしょう。

子育てや介護を志望理由として話してはいけない

ただし、こうした企業に転職を希望する際は、子育てや介護を志望理由として話さないでください。この制度を利用するために入社するのかと勘繰られるからです。

すでに述べたように、「子育てや介護をしている人、大歓迎です!」と両手を広げられる企業は、そう多くはないのが実態です。

本音は胸の中にしまい、「この企業なら打ち明けてもいい」とあなたが認めた時にだけ話してください。もしくは内定後にお話することをお勧めします。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル軍、ラファ住民に避難促す 地上攻撃準備か

ビジネス

ユーロ圏総合PMI、4月も50超え1年ぶり高水準 

ビジネス

独サービスPMI、4月53.2に上昇 受注好調で6

ワールド

ロシア、軍事演習で戦術核兵器の使用練習へ 西側の挑
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが...... 今も厳しい差別、雇用許可制20年目の韓国

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表...奇妙な姿の超希少カスザメを発見、100年ぶり研究再開

  • 4

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 5

    ウクライナがモスクワの空港で「放火」工作を実行す…

  • 6

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 7

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 8

    単独取材:岸田首相、本誌に語ったGDP「4位転落」日…

  • 9

    マフィアに狙われたオランダ王女が「スペイン極秘留…

  • 10

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 5

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 6

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 9

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 10

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中