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中国企業のイノベーション志向を探る

2015年8月26日(水)16時30分
ヤン・シアオトン ※Dialogue Review Jun/Aug 2015より転載

 長期志向は中国の伝統的な価値観だ。ただし、国有企業の場合、長期的視野で戦略を立てようにも、しばしば国の政策と規制に阻まれることになる。国有企業の指導陣は3年単位で交代する(6年までは延長できる)。そのため短期的利益に焦点を合わさざるを得ず、先を見越したイノベーションの種をまくことが難しい。

 いずれにせよ中国企業には、長期的視野で接近するべきだ。そうすれば、相互協力のしっかりとした土台を築くことができるだろう。民間企業ならなおさらだ。国有企業の場合は、短期的な達成目標を長期目標にシームレスに適合させるようにすればよい。

 また外国企業は、中国企業では総じて権力格差が大きいことを十分に認識し、相手企業の権力分布を理解しなければならない。いちばんよいのは、中国企業の自分と同じくらいの立場の人と密接に関わり、その人の紹介で組織のはしごを登っていくことだ。地位が対等かどうかは、中国の企業文化では重要な概念であり、中国では個人的関係をとても大切にするからだ。

[執筆者]
ヤン・シアオトン
イノベーションを専門とする独立系研究者であり、デューク・コーポレート・エデュケーション(中国)顧問。雲南省昆明市盤龍区で議員に相当する役職にも就いている。

編集・企画:情報工場 © 情報工場
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※当記事は「Dialogue Review Jun/Aug 2015」からの転載記事です
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