最新記事

航空

快適からどんどん遠ざかる空の旅

年間ランキングでわかる航空会社の著しいサービス低下

2015年4月15日(水)15時24分
アリソン・グリズウォルド

ストレス上昇中 手荷物無料サービスを守ってきたジェットブルー航空もついに有料化へ Lucas Jackson-Reuters

 旅客機の乗客同士が足元のスペースをめぐって喧嘩する事態が相次いだ昨年は、全体的にも米航空業界全体にとってひどい年だった。

 今週公表された航空サービスの研究報告書によると、2014年には定時運航率が低下し、預けた荷物のトラブルが増加、さらに乗客が飛行機から降ろされるケースが増加するなど、航空会社の様々なサービスの質が低下した。

 結果として、乗客10万人あたりのクレーム発生率は13年の1.13件から14年の1.38件に上昇。この報告書は、カンザス州のウィチタ州立大学などで作る研究グループが米運輸省の各種の統計を毎年集計してまとめている。

 アメリカの12の大手航空会社のうちヴァージンアメリカ航空が3年連続でランキングトップに立ち、最下位はエンボイ航空だった。デルタ航空は前年より1ランク上げて第3位、ジェットブルー航空は2ランク下げて第4位。定時運航率が最も低いのはハワイアン航空、乗客のクレームが最も多かったのはフロンティア航空だった。すべての航空会社に関して、サービスの低下は「航空業界が好調な経済の恩恵を受ける中、乗客に悪印象を与えている」と、報告書は述べている。

 この報告書では、航空会社のサービスが悪化して乗客の我慢が限界まできていることがデータで示されている。昨年、座席の足元のスペースをめぐって乗客同士が喧嘩になり、飛行機が目的地を変更する事態が相次いで発生した。喧嘩の原因はテーブルの位置を固定して前の座席をリクライニングさせなくする旅行用具「ニー(ひざ)・デフェンダー」で、ほとんどの大手航空会社は使用を禁止している。

 かつては標準サービスだった座席指定や荷物の預け入れには、オプション料金が課せられている。さらに航空会社は、1フライトあたりの乗客数を増やそうと、シートをどんどん小さくしている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ソフトバンクGの1―3月期純利益は2310億円 2

ワールド

ジョージアで米国人ら拘束、「スパイ法案」に抗議デモ

ビジネス

アマゾン、フランスに13億ドル投資へ 3000人の

ビジネス

SUBARU、トヨタと共同開発のEV相互供給 26
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    地下室の排水口の中に、無数の触手を蠢かせる「謎の…

  • 5

    年金だけに頼ると貧困ライン未満の生活に...進む少子…

  • 6

    ブラッドレー歩兵戦闘車、ロシアT80戦車を撃ち抜く「…

  • 7

    横から見れば裸...英歌手のメットガラ衣装に「カーテ…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    アメリカでなぜか人気急上昇中のメーガン妃...「ネト…

  • 10

    「終わりよければ全てよし」...日本の「締めくくりの…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 6

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 9

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中