最新記事

企業

玩具の王様レゴ、快進撃の理由

老舗の好業績を支える世界進出とエンタメビジネス

2015年3月6日(金)11時59分
ルーク・ハースト

子供から大人まで 世界中にファンを持つレゴ(イギリスのイベントで) Dan Kitwood/Getty Images

 株価や業績の話題になるとアップルの名前が出るが、北欧の雄レゴも快進撃を続けている。

 14年の決算を発表した先月末の記者会見で、ヨアン・ビー・クヌッドストープCEOは「レゴ・グループにとって過去最高の1年」と自画自賛。昨年大ヒットした映画『LEGO(R)ムービー』の主題歌「エブリシング・イズ・オーサム(何もかも最高)」を口ずさみ、ステップを踏んでみせた。「とても満足のいく結果だ。今後も最善を尽くして邁進する」

 デンマークの玩具大手レゴの14年の純利益は、前年比15%増の70億デンマーククローネ(約1255億円)。収益は同13%増の286億デンマーククローネ(約5130億円)だった。

 上海とロンドンに新たな主要オフィスを開くなど、世界規模で業務を拡大し、従業員は13年末の1万3869人から14年末は1万4762人と900人近く増えた。中国初となる浙江省嘉興に建設中の工場は15年に一部操業を開始し、17年までに全面稼働する予定。アジア市場の重要な足掛かりとなる。

 昨年上半期にはバービー人形で知られる米マテルを抜き、売り上げと利益で世界最大の玩具メーカーとなった。先月コンサルティング会社ブランド・ファイナンスが発表した「世界最強ブランド」ランキングでは、自動車の名門フェラーリを抑えて首位に立った。

 好調を支えているのが、ブロックのキャラクターが冒険を繰り広げる映画『LEGOムービー』の関連製品だ。「ブロックのレゴ」に新たな収益源をもたらしている。

 映画の興行収入は全世界で約4億6800万ドル。ワーナー・ブラザースから発売された映画のゲームソフトの売り上げは、昨年2月に20億ドルに達した。「LEGOムービー」シリーズのブロックも人気を集めている。
続編『LEGOムービー・シークエル』の製作も決まっている。18年に公開予定で、テレビシリーズの監督や3Dアニメ映画『モンスター・ハウス』の脚本で知られるロブ・シュラブが初の長編映画に挑戦する。

 レゴ帝国の覇権は続くと、ジョン・グッドウィン上級副社長兼CFO(最高財務責任者)は自信をのぞかせる。「革新に力を注ぎ、世界的な展開を推し進めることで、市場で一歩先んじた成長を続けていけるだろう」

[2015年3月10日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

逮捕475人で大半が韓国籍、米で建設中の現代自工場

ワールド

FRB議長候補、ハセット・ウォーシュ・ウォーラーの

ワールド

アングル:雇用激減するメキシコ国境の町、トランプ関

ビジネス

米国株式市場=小幅安、景気先行き懸念が重し 利下げ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 3
    眠らないと脳にゴミがたまる...「脳を守る」3つの習慣とは?
  • 4
    「稼げる」はずの豪ワーホリで搾取される日本人..給…
  • 5
    「生きられない」と生後数日で手放された2本脚のダ…
  • 6
    ロシア航空戦力の脆弱性が浮き彫りに...ウクライナ軍…
  • 7
    「ディズニー映画そのまま...」まさかの動物の友情を…
  • 8
    金価格が過去最高を更新、「異例の急騰」招いた要因…
  • 9
    ハイカーグループに向かってクマ猛ダッシュ、砂塵舞…
  • 10
    今なぜ「腹斜筋」なのか?...ブルース・リーのような…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 3
    眠らないと脳にゴミがたまる...「脳を守る」3つの習慣とは?
  • 4
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 5
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...…
  • 6
    「生きられない」と生後数日で手放された2本脚のダ…
  • 7
    「あのホラー映画が現実に...」カヤック中の男性に接…
  • 8
    「よく眠る人が長生き」は本当なのか?...「睡眠障害…
  • 9
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 10
    「見せびらかし...」ベッカム長男夫妻、家族とのヨッ…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 3
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 4
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にす…
  • 5
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 6
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 7
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 8
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中