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イスラエルを動かす「超正統派」とは何者か?...ネタニヤフの政治的保身と分断する社会
ユダヤ教超正統派はイスラエルにおいても特殊な存在だ。
ユダヤ教の戒律を厳格に守り、インターネットも使わない。エルサレムにある超正統派の居住地区メア・シェアリームでは、男性はひげを蓄え、黒いスーツをまとい、もみあげを長く伸ばし、剃った頭に帽子をかぶる。
女性は結婚後に剃髪するため、スカーフを巻くかウィッグを着ける。地区には増築を重ねた長屋風の住居が所狭しと並び、長いもみあげをぶら下げた子供たちが無邪気に走り回っている。
そんな彼らがメシア(救世主)到来まで国家は存在し得ないという伝統的解釈との矛盾を抱えながらも、戒律に基づく生活を守るために1980年代から世俗政治に参加してきた。
以来、欧州系ユダヤ人(アシュケナジ)を支持母体とする政党連合「ユダヤ・トーラ連合」と、イベリア半島にルーツを持つユダヤ人(セファルディ)を支持母体とする政党「シャス」が、人口増加とともに存在感を強めている。
92年の選挙で合わせて8%程度だった議席数は、2022年には15%に到達。一家庭に子供が10人いても珍しくない人口に加え、右派とも左派とも組めるという超正統派の柔軟性から、政界におけるキャスチングボートとしての存在感を増している。
その一方で、彼らが享受する特権は、社会に深い分断をもたらしている。
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