コラム

中国ネトウヨが「盗賊」と呼んだ大英博物館に感謝した訳

2026年01月17日(土)19時06分
ラージャオ(中国人風刺漫画家)/トウガラシ(コラムニスト)

館長が自ら描いた贋作とすり替え売却

中国でこの手の事件はこれにとどまらない。広州美術学院の元図書館長である蕭元(シアオ・ユアン)は03年から06年にかけて、自ら描いた贋作とすり替えるという手口で、斉白石(チー・パイシー)ら現代中国画の巨匠の真作143点を盗み出し、そのうち125点をオークション会社を通じて売却。被害総額は1億1000万元(約25億円)に達した。

これらの事件は、小粉紅たちに強烈な現実を突き付けた。かつて「盗賊の巣」と罵った大英博物館よりも、自国の腐敗のほうが深刻だ。「大英博物館の文物がもし中国国内に残されていたなら、とっくに『監守自盗』されていただろう」。彼らの感謝は、中国の制度的腐敗と文化財保護の脆弱さをブラックユーモア的に映し出している。


ポイント

仇英
明代を代表する4人の画家の1人。現在の江蘇省で生まれた。山水画や精密な人物画で知られ、代表作に『秋江待渡図』『雲渓仙館図』(いずれも台北故宮博物院所蔵)などがある。

監守自盗
中国語の成語で発音は「チエンショウツードウ」。自分が公務で見張りを担当している場所から貴重品などを盗み、自分のものにすること。つまり横領。出典は『漢書刑法志』。

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プロフィール

風刺画で読み解く中国の現実

<辣椒(ラージャオ、王立銘)>
風刺マンガ家。1973年、下放政策で上海から新疆ウイグル自治区に送られた両親の下に生まれた。文革終了後に上海に戻り、進学してデザインを学ぶ。09年からネットで辛辣な風刺マンガを発表して大人気に。14年8月、妻とともに商用で日本を訪れていたところ共産党機関紙系メディアの批判が始まり、身の危険を感じて帰国を断念。以後、日本で事実上の亡命生活を送った。17年5月にアメリカに移住。

<トウガラシ>
作家·翻訳者·コラムニスト。ホテル管理、国際貿易の仕事を経てフリーランスへ。コラムを書きながら翻訳と著書も執筆中。

<このコラムの過去の記事一覧はこちら>

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