コラム

中東再編の主役にトルコが名乗り...「アブラハム合意」失速後の地域秩序とは?

2026年03月04日(水)07時20分
エルドアン大統領

独自外交を展開してきたエルドアン大統領(25年2月) HASNOOR HUSSAINーREUTERS

<イスラエルの誤算か? 既に次の段階に入った中東における、新たなプレーヤーについて>

近年の中東再編の主役はイスラエルだった。

軍事的優位性を持つイスラエルとアラブ諸国が連携することで、イランに対抗する新秩序を築く。そしてパレスチナ問題を棚上げにしたまま最大の敵国であるイランに対抗できれば、イスラエルにとっては一石二鳥──

これが2020年に第1次トランプ政権が仲介して実現した「アブラハム合意」の大きな流れであった。しかし、その構想が揺らぐ今、イスラエルを踏み台にして空白を埋めようとしているのがトルコである。


イスラエルにとっては、サウジアラビアとの国交正常化が「アブラハム合意の完成」であった。人口増加が続く巨大市場であるイスラム世界での経済的・戦略的拡大が実現すれば、外交的飛躍となるはずだった。

だが23年10月7日のイスラム組織ハマスによる大規模攻撃以降、情勢は反転。国交正常化が秒読みとみられていたサウジはパレスチナ問題の解決を前提条件に掲げ、イスラエルに対して強硬姿勢を見せるようになる。

この局面で存在感を高めたのがトルコだ。

プロフィール

曽我太一

ジャーナリスト。東京外国語大学大学院修了後、NHK入局。札幌放送局などを経て、報道局国際部で移民・難民政策、欧州情勢などを担当し、2020年からエルサレム支局長として和平問題やテック業界を取材。ロシア・ウクライナ戦争では現地入りした。2023年末よりフリーランスに。中東を拠点に取材活動を行なっている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

FRB議長候補ウォーシュ氏、21日に指名承認公聴会

ビジネス

FRB利下げ27年まで延期の可能性、原油高次第=シ

ビジネス

米シティ、1─3月期は利益が予想上回る 地政学的緊

ビジネス

世界成長、悪化の公算 中東情勢受け=IMFチーフエ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:台湾有事の新シナリオ
特集:台湾有事の新シナリオ
2026年4月21日号(4/14発売)

地域紛争の「大前提」を変えた米・イラン戦争が台湾侵攻の展開に及ぼす影響をシミュレーション

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本は「イノベーションのやり方」を忘れた...ホンダ「EV撤退」が示す、日本が失った力の正体
  • 2
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国防軍は崩壊寸前」
  • 3
    【銘柄】イラン情勢で「任天堂」が急落 不確実な相場で人気の優良株から売られる落とし穴
  • 4
    「いい加減にして...」ケンダル・ジェンナーの「目の…
  • 5
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 6
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦に…
  • 7
    トランプがまた暴走?「イラン海上封鎖」の勝算
  • 8
    高さ330メートルの絶景と恐怖 「世界一高い屋外エレ…
  • 9
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 10
    目のやり場に困る...元アイスホッケー女性選手の「密…
  • 1
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 2
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 3
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 4
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国…
  • 7
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 8
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 9
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 10
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦に…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 10
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story