コラム

トランプ主導「平和評議会」の正体とは?...国際機関か、「私的クラブ」か

2026年02月03日(火)17時15分
ダボス会議で「平和評議会」を発足させたトランプ大統領

ダボス会議で「平和評議会」を発足させたトランプ大統領 JONATHAN ERNSTーREUTERS

<世界の他地域では傍若無人に振る舞うトランプだが、中東ではまだ可能性が残されている...?>

トランプ米大統領が主導するガザ和平推進機関「平和評議会」が、1月にスイスで開催されたダボス会議で正式に発足した。

現時点での参加国はサウジアラビア、カタール、トルコなどの中東・アラブ諸国に加え、パキスタン、アゼルバイジャン、インドネシアなど20カ国以上に及び、その多くが権威主義体制の国家だ。


フランスやイギリスは活動の不透明さなどを理由に辞退したが、そのうちフランスは主要輸出品のワインに対するトランプ関税の脅しを受けた。

この平和評議会は、参加国の顔触れだけでなく、組織構造そのものに恣意性の問題をはらんでいる。加盟国の選定や除外、任期更新の可否に至るまで、権限は「議長」に委ねられる。

その議長に任期はなく、交代は辞任か職務不能と認定された場合のみで、しかも後継議長の指名も可能だ。評議会の指揮・運営を担う執行委員会の決定も最終的には議長の承認が必要となる。その初代議長がトランプであり、まさに彼を頂点とした私的会員制組織「トランプ・クラブ」と呼ぶにふさわしい。

パレスチナ自治区ガザにはイスラム組織ハマスに代わる統治機構として「ガザ行政国家委員会」が設立され、同評議会のガザ執行委員会の監督下に置かれることになったが、その実効性は依然として不透明なままだ。

今後の停戦維持から再建、復興に至るまでの責任を評議会の議長であるトランプが担い、ガザはまさにトランプの手のひらの上にある。つまり風化しかけていたイスラエルとパレスチナの和平問題に、アメリカが再び深く関与する展開になっている。

プロフィール

曽我太一

ジャーナリスト。東京外国語大学大学院修了後、NHK入局。札幌放送局などを経て、報道局国際部で移民・難民政策、欧州情勢などを担当し、2020年からエルサレム支局長として和平問題やテック業界を取材。ロシア・ウクライナ戦争では現地入りした。2023年末よりフリーランスに。中東を拠点に取材活動を行なっている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ホルムズ海峡で3隻に飛翔体直撃、日本船籍コンテナ船

ワールド

イラン、米・イスラエル関連の域内経済・銀行拠点をを

ワールド

市場変動が経済への衝撃増幅も、さまざまなシナリオ検

ビジネス

「ザラ」親会社、2月は予想通り9%増収 25年の利
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開された皇太子夫妻の写真が話題に
  • 4
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 5
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 6
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 7
    「一日中見てられる...」元プロゴルファー女性の「目…
  • 8
    人間ダンサーを連れて「圧巻のパフォーマンス」...こ…
  • 9
    イランがドバイ国際空港にドローン攻撃...爆発の瞬間…
  • 10
    ホルムズ海峡封鎖、石油危機より怖い「肥料ショック」
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで続くのか
  • 4
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 5
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 6
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 7
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示…
  • 10
    中国はイランを見捨てた? イランの「同盟国」だっ…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story