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バイデンとトランプ、それぞれの苦境
ヒックスは、2016年のトランプ選対では「ミスコンの楽屋」に関する放言動画が出回ったことで、「女性票が逃げる」という危機感が高まったことを明確に証言。その危機感の中で、ダニエルズとの不倫問題は「絶対に明るみに出てはならない」という判断が生まれ、それが口止め工作につながったとしていました。
ヒックスという側近中の側近の証言は、ワシントンの政界に深く静かな衝撃を与えていました。そのヒックス証言を裏付けるかのように、「不倫相手本人」からは「情事の直後の口止め」はなく「わいせつ放言動画」の後で、急に工作が始まったという証言が出たわけで、その全体はかなりのインパクトと共に報じられています。
トランプ側としては、仮に「口止め工作」が否定できなくなったとしても「メラニア夫人にバレないように」したかったというストーリーにしようとしていました。つまり「口止め」と「選挙戦」は無関係という説明をしようとしていたのです。ですが、この2人の女性の証言で、この作戦は崩れてしまいました。
もちろんトランプ信者、つまりコアの支持者はこの程度のことでは支持を止めないでしょう。全ては民主党の陰謀であるとか、女性問題でアッケラカンとしている大将は少なくとも「偽善者ではない」ので自分たちの代表だというような、特殊な心理が蔓延しているからです。
ですが、この訴訟について、今後の進展次第では、消極的なトランプ支持票、特に古典的な共和党支持層や無党派層の中には、トランプの支持を止める人が出て来る可能性は十分にあると思います。
このように、バイデン、トランプの両陣営ともに、通常の選挙戦や政策論争はとてもできる状況ではなくなってきています。

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