コラム

シリア情勢をめぐって生じた、トランプと米軍の間のズレ

2017年03月14日(火)17時15分

ですから、米軍がYPGを突き放すことは難しいでしょう。そう考えると、今回の増派というのは、ISをラッカから放逐するためというだけでなく、トルコ軍とYPGが直接戦火を交えないように「割って入る」ことも主要なミッションになるのではないでしょうか。

こうした状況下で、「強いアメリカを再現してISを圧倒する」と叫んできたトランプ大統領と、現実を直視した上で「トルコ軍とYPGが直接戦火を交えないように、間に割って入る」ことを志向する米軍の間には、ズレが生じ始めています。現在は、そうした政策的なズレをお互いに認めつつ行動しているというわけで、政治的には「異常な状態」なのです。

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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