- HOME
- コラム
- プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
- トランプ支持者が抱える、ある深刻な分裂
トランプ支持者が抱える、ある深刻な分裂
このまったく異なる「コア支持層」と「共和党本流」は選挙戦の最初から水と油でした。ですから、共和党予備選を通じてトランプ氏と、例えば後者の代表だったジェブ・ブッシュ候補などは激しい中傷合戦を繰り広げましたし、その後2016年春にトランプ氏の優位が見えてきた際には、共和党の本流は「トランプ降ろし」を必死になって画策したのです。
では、そんな両者がどうして共存しているのかというと、それは「オバマ時代の政治をひっくり返したい」とか「ヒラリー・クリントンの政策を否定したい」という、心理的な衝動としては共通するものがあったからです。
ですが、今週20日の就任式を境に、政治的な環境は変わります。オバマの時代は歴史の彼方、つまり「過去」へと飛び去っていくのであり、トランプ氏とその周囲はホワイトハウスという行政府を動かして、国政を担って行かなければなりません。一方で、共和党の本流にいる多くの議会メンバーは、個々人の選挙区の意向を反映させながら自分の政治をやっていかなければなりません。
対立の火種は至る所に転がっているのです。では、そんな対立を抱えながらトランプはどのように政権運営していくのでしょうか?
結局は、「中身としては是々非々」にならざるを得ないと思います。
【参考記事】日本はワースト4位、「経済民主主義指数」が示す格差への処方箋
景気を維持するためには、株価を維持しなくてはならず、そのためには企業業績は悪化させることはできません。ですから大企業優遇の政策は実行に移されるでしょう。ですが、選挙で自分を選んだ有権者の期待にも応えなければなりません。ですから、世間の話題になりそうなテーマについては「劇場型パフォーマンス」を続けていくことになるでしょう。
自動車産業への介入が良い例で、メキシコに工場が流出する空洞化に関しては強硬に否定していますが、これは一種のシンボル的な動きであり、そのような「規制」を全産業に対して発動するわけではありません。フォード社などが「おとなしく」従っているように見えるのは、トランプ支持者の不買運動が怖いということもあるかもしれませんが、「全体としては悪いようにはしないだろう」という読みがあるのだと思います。
サプライズはゼロだった米副大統領候補の討論会 2024.10.03
解雇規制緩和はジョブ型雇用とセットでなくては機能しない 2024.09.25
米大統領選を左右するかもしれない「ハリスの大笑い」 2024.09.18
トランプ対ハリスのテレビ討論は事実上、引き分け 2024.09.12
原発問題への変節、河野氏と立憲民主党を比較する 2024.09.05
「セクシー発言」など問題ではない、小泉進次郎が農業改革に失敗した過去をどう評価するか 2024.08.28
セブン買収提案と、日本経済の今後 2024.08.21