プレスリリース

"隠れ老化"である慢性炎症の鎮静に植物でアプローチ(2)

2025年08月26日(火)11時15分
ノエビアグループは、「カミツレ」の花エキスおよび「メリッサ」の葉エキスが、加齢による肌の慢性炎症に関わる3種類のマイクロRNAを増加させることで、炎症関連因子の過剰な合成を防ぎ、炎症老化を防ぐことを発見しました。さらに、「メドウスイート」「イザヨイバラ」「マロニエ」との組み合わせにより、炎症老化への効果が相乗的に高まることを明らかにしました。これにより、加齢に伴う肌トラブルが表面化する前に原因となる炎症の芽を摘む、"新たな予防的エイジングケア"の実現が期待できます。
この研究成果の一部は、2025年3月26日から29日にかけて開催された「日本薬学会第145年会」で発表しました。

「"隠れ老化"である慢性炎症の鎮静に植物でアプローチ(1)」はこちらをご覧ください。
https://www.noevir.co.jp/new/ir_info/pdf/per55/250826b.pdf

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/445920/LL_img_445920_1.png
研究成果の概要


【研究背景】
~炎症老化とマイクロRNAの関係に着目~
ノエビアグループは、「肌本来の美しさを引き出す」ことを目指し、長年にわたりエイジングケアの研究に取り組んできました。これまでの研究では、紫外線や外的刺激によって引き起こされる急性炎症が肌老化の主な要因とされてきましたが、近年では、加齢とともに炎症が慢性化することで、気づかぬうちに"隠れ老化"が進行し、やがて肌トラブルとして表面化する――こうした一連の現象である「炎症老化」が新たに注目されています。
炎症反応は本来、生体にとって重要な生体防御反応ですが、慢性化することで悪影響を及ぼすため、適切なコントロールが重要です。その鍵を握るのが、真皮線維芽細胞が炎症関連因子を産生する際の設計図となる「炎症関連遺伝子」です。そこで本研究では、これらの遺伝子をコントロールしているマイクロRNAに着目しました。これまでに蓄積してきたマイクロRNAに関する知見をもとに、「マイクロRNAと炎症老化の関係性」および「植物がそれに与える影響」を検証することで、植物の力で炎症を早期に鎮める"新たな予防的エイジングケア"の可能性を探りました。


【研究成果】
1-(1). 炎症関連遺伝子をコントロールする3種類のマイクロRNAを発見

炎症関連因子などのタンパク質は、DNAの中の遺伝子を設計図とし、そのコピーであるメッセンジャーRNAをもとに合成されます。マイクロRNAはメッセンジャーRNAに結合し、そのはたらきを抑制したり、分解したりすることで、タンパク質の合成をコントロールすることができます。
そこで、加齢に伴い増加する炎症関連遺伝子と、それらのタンパク質への合成をコントロールしているマイクロRNAを、次世代シーケンサー※1を用いて網羅的に解析しました。真皮線維芽細胞において、正常細胞と加齢モデル細胞を比較したところ、加齢に伴い増加した炎症関連遺伝子(●)が明らかになり、それらの遺伝子をコントロールしている3種類のマイクロRNA(■a~c)※2を発見しました(図.1)。

※1 次世代シーケンサー:遺伝子の配列を高速かつ大量に解析できる装置
※2 マイクロRNA(a) :miR-17-5p
マイクロRNA(b) :miR-155-5p
マイクロRNA(c) :miR-196a-5p

画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/445920/LL_img_445920_3.png
(図.1) 加齢で増加した炎症関連遺伝子(●)をコントロールする3種類のマイクロRNA(■a~c)


1-(2). 「カミツレ」「メリッサ」が炎症老化を防ぐ3種類のマイクロRNAを増やすことを発見

さらに、3種類のマイクロRNAはいずれも加齢モデル細胞において減少していたことから(図.2)、これらを増加させることが慢性炎症の鎮静に有効であることが導き出されました。3種類のマイクロRNAを増加させる植物を探索した結果、「カミツレ」がマイクロRNA(a)およびマイクロRNA(b)を増やし、「メリッサ」がマイクロRNA(c)を増やすことを発見しました(図.2)。この結果から、「カミツレ」および「メリッサ」は、3種類のマイクロRNAを増加させることで、炎症関連因子の過剰な合成を防ぎ、慢性炎症を予防的に鎮静できる可能性が示唆されました。

画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/445920/LL_img_445920_4.png
(図.2) 「カミツレ」「メリッサ」が炎症老化を防ぐ3種類のマイクロRNAを増やす


2. 植物成分の組み合わせが「カミツレ」「メリッサ」の炎症鎮静効果を高めることを発見

ノエビアグループでは、植物を適材適所に組み合わせ、お互いが高め合う、独自の配合論にこだわってきました。そこで、「カミツレ」「メリッサ」がもつ炎症老化への効果を相乗的に高める植物の組み合わせを検討した結果、「メドウスイート」「イザヨイバラ」「マロニエ」を加えた5種類の植物を組み合わせることで、加齢に伴い増加する炎症関連因子の量が相乗的に減少することが明らかになりました(図.3)。

画像4: https://www.atpress.ne.jp/releases/445920/LL_img_445920_5.png
(図.3) 5種類の植物の組み合わせによる相乗的な炎症鎮静効果


カミツレ(花)
学名:Matricaria chamomilla
科名:キク科
属名:シカギク属
ヨーロッパ原産の一年草。りんごに似た香りが特徴で、古くからハーブティーや民間薬として利用されている。自社農場「北海道暑寒別岳パイロットファーム」( https://www.noevir.co.jp/about/farm/ )にて有機栽培

メリッサ(葉)
学名:Melissa officinalis
科名:シソ科
属名:コウスイハッカ属
南ヨーロッパ原産の多年草。レモンに似たさわやかな香りからレモンバームとも呼ばれ、古くからハーブティーや民間薬として利用されている。

画像5: https://www.atpress.ne.jp/releases/445920/LL_img_445920_2.png
カミツレ/メリッサ


【今後の展開】
「カミツレ」「メリッサ」が、肌の慢性的な炎症を防ぐ3種類のマイクロRNAを増加させることを発見し、さらに、他の植物との組み合わせにより炎症老化を防ぐ効果を高めることが期待できます。これは、加齢に伴う肌トラブルが表面化する前に原因となる炎症の芽を摘む、"新たな予防的エイジングケア"の可能性を示しています。この研究成果は今後の基礎化粧品の開発に応用する予定です。
ノエビアグループは、「自然を科学する」という理念のもと、創業以来培ってきた独自の植物研究と最先端テクノロジーの融合による高機能化粧品の提供を通して、化粧品がもたらすQOL向上を目指してまいります。


<ノエビアのこだわり>
https://www.noevir.co.jp/about/


詳細はこちら
プレスリリース提供元:@Press
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

マクロスコープ:狭まる財政余力、国債費要求が過去最

ビジネス

7月の基調的インフレ指標、刈込平均値と加重中央値が

ワールド

中国貿易交渉官が週内訪米、次官級当局者と会談も=米

ワールド

中ロは「世界平和の安定の源」、習主席がロシア下院議
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 2
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」の正体...医師が回答した「人獣共通感染症」とは
  • 3
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密着させ...」 女性客が投稿した写真に批判殺到
  • 4
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 5
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 6
    顔面が「異様な突起」に覆われたリス...「触手の生え…
  • 7
    【写真特集】「世界最大の湖」カスピ海が縮んでいく…
  • 8
    アメリカの農地に「中国のソーラーパネルは要らない…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(東京会場) …
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 3
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人」だった...母親によるビフォーアフター画像にSNS驚愕
  • 4
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 5
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 6
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 7
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 8
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 9
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 10
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中