コラム

カードを保護し、ワンタッチで取り出せる新時代の財布システム

2016年10月25日(火)16時20分

<カード類をスリムに収納しワンタッチで取り出せるキャッシュレス時代の財布。レバーを引くとカードが取り出しやすいようにスライドして階段状になって出てくる使い易さで、カードの収納に最適だ>

 今年秋の個人的なビッグニュースは、アップルの電子決済&ウォレットサービス、アップルペイがようやく日本でもスタートすることだった。ただし、それは(少なくとも現在の日本では)少額決済に留まり、いわゆるポイントカードなどもサポートされないので、クレジットカードや電子マネーカードを持ち歩く機会は少なからず残っている。

 これらの物理的なカードの厄介な面は、目的に合わせて異なるものを複数枚持ち歩き、利用時に適切なものを取り出して使わなければならないところにある。そこで財布メーカーは、ポケットをたくさん付けたり、ビニール製のスリーブを束ねて組み込むなどの工夫を行なって対応してきた。

 さて、少し話が変わるが、オランダといえば、一般にはチューリップや風車で有名な国だ。だが、かつては皮革製品の製造も重要な産業の1つだったのである。残念なことに、このオランダの皮革産業は近年衰退気味で、優れた技術が失われかねない状況にあった。

 ところが、こうしたプラスティックマネーの台頭を皮革産業再興の好機と捉え、新時代のスマートウォレットを開発した企業がある。それが、製品のデザインから生産までを一貫してオランダ国内で行なっているシークリッドだ。

 同社のウォレットの特徴は、カードのセキュリティを確保しながら日常的な使いやすさを重視し、さらに表面の革素材やカラーを40種を超える豊富な選択肢の中から選べる点にある。

 その表情豊かな皮革でサンドイッチされているのは、通常の厚みのカードを一度に6枚収納可能な金属製スリーブで、この底部にレバーのワンタッチ操作によって階段状にカードがポップアップする精巧な機構が組み込まれている。そして、このスリーブがカードをスキミングから守り、3cm以上表にスライドさせたカードのみが店舗のリーダーなどで読み取り可能となる。

 筆者は、留めホックのないスリムウォレットをベルリンで購入し愛用しているが、公式サイトのストアロケーターで日本の取扱店も検索できるようだ。興味のある方はお近くのショップを探されてみてはいかがだろうか?

プロフィール

大谷和利

テクノロジーライター、原宿AssistOnアドバイザー、NPO法人MOSA副会長。アップル、テクノロジー、デザイン、自転車などを中心に執筆活動を行い、商品開発のコンサルティングも手がける。近著に「成功する会社はなぜ「写真」を大事にするのか」(現代ビジネスブック)「ICTことば辞典:250の重要キーワード」(共著・三省堂)、「東京モノ作りスペース巡り」(共著・カラーズ)。監修書に「ビジュアルシフト」(宣伝会議)。

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