最新記事
シリーズ日本再発見

新宿―東京は何線で? 日本の交通案内は分かりやすいですか

2016年12月09日(金)14時39分
高口康太(ジャーナリスト、翻訳家)

JR東日本がサイトで提供している路線図(英語版)のうち最も詳しいもの

<世界有数の複雑な電車網が張り巡らされた東京。しかも日本語や日本特有の案内用図記号が外国人に理解しづらいといわれる。実際のところ、外国人たちは移動に困り、道に迷っているのか。路上で聞いてみたところ...>

【シリーズ】五輪に向けて...外国人の本音を聞く

 12月1日、銀座線上野駅にパンダPepperが登場し、話題となった。Pepperはソフトバンクのロボット・コンパニオン。上野のシンボルであるパンダ風の塗装をほどこしての登場となった(下記は台東区観光課公式ツイッターアカウントのつぶやき)。しかし、白黒に塗り分けられた姿はパンダというよりは異星人に近いのではないか。痩せすぎなのが悪いのか、邪悪な目つきが悪いのか、ともかく違和感満載だ。

 もっとも、このパンダPepperは見かけにそぐわず、日本語、英語、中国語、韓国語、スペイン語、フランス語の6カ国語を使いこなす優れもので、浅草や成田空港への行き先案内などの業務を担当するという。

 なるほど確かに東京の交通はとかく複雑だ。しかも日本語や日本特有の案内用図記号(ピクトグラム)が外国人には理解しづらいという。経済産業省は現在、案内用図記号の改訂を検討中。早くも温泉マークの変更案が賛否を巻き起こすなど話題となっているが、日本独自の図記号を国際規格とすりあわせ、他にも祈祷室や無線LANなどの新たな図記号を来夏までに制定する方針だ。

【参考記事】ニッポン名物の満員電車は「自然となくなります」

 外国人にとって日本は過ごしやすい場所なのか。何を改善すればいいのか。東京の交通案内を中心に外国人旅行客、在日外国人に尋ねてみた。

路線図がわかりづらい? いやいや、実は素晴らしい!

 新宿・歌舞伎町一番街アーチの下で、英語の地図を必死にめくっている女性がいた。日本に旅行に来ているエマさん(スイス出身、30代女性)だ。東京駅に行きたいのだが、どのように移動すればいいかわからず困っているという。やはり路線図が分かりづらいのかと尋ねると意外な答えが返ってきた。

 きれいに色分けされた日本の路線図はとても見やすく、東京での移動はとても便利だとのこと。悩んでいたのは地下街だ。新宿駅近郊には地下街に入る入り口が多いが、どこから入れば地下鉄にたどりつけるのかが分からなかったという。「普通の地下鉄入口はメトロのMマークがありますよね。ここの地下街入り口にはマークはないんですが、ガイドブックにはここから地下鉄につながっていると書いてあって混乱してしまいました」

 ちなみに、新宿駅から東京駅への移動はJR中央線が直通していて便利だと教えると驚いていた。使っている路線図が地下鉄だけ掲載されていたものだったのでよく分からなかったという。出回っている外国語の路線図にはどうやらJRと地下鉄が併記されていないものもあるらしく、使い分けで混乱する人もいるようだ。

 エマさん以外からも日本の路線図を絶賛する言葉が聞かれた。マリさん(タイ出身、30歳女性)は英語も話せず日本語もたどたどしいが、東京での移動に困ったことはないという。「唯一困ったのが山手線です。外回り、内回りとかいわれてもよく分からなくて」と話している。

【参考記事】日本に観光に来た外国人がどこで何をしているか、ビッグデータが明かします

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダック最高値更新、貿易交

ワールド

G7外相、イスラエル・イラン停戦支持 核合意再交渉

ワールド

マスク氏、トランプ氏の歳出法案を再度非難 「新政党

ビジネス

NY外為市場=ドル対ユーロで約4年ぶり安値、米財政
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 2
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とんでもないモノ」に仰天
  • 3
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。2位は「身を乗り出す」。では、1位は?
  • 4
    「パイロットとCAが...」暴露動画が示した「機内での…
  • 5
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 6
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 7
    ワニに襲われ女性が死亡...カヌー転覆後に水中へ引き…
  • 8
    飛行機のトイレに入った女性に、乗客みんなが「一斉…
  • 9
    自撮り動画を見て、体の一部に「不自然な変形」を発…
  • 10
    顧客の経営課題に寄り添う──「経営のプロ」の視点を…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 3
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 4
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 5
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 6
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 7
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 8
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 9
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 10
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中