ボブ・ディランの伝記映画『名もなき者』にがっかり......彼のミューズをなぜ軽視?
もちろん、フォーク歌手のウディ・ガスリーやロトロの後に交際したジョーン・バエズの影響も小さくはないが、ロトロがディランにとって、例えばジョン・レノンにとってのオノ・ヨーコやサルバドール・ダリにとってのガラ・エリュアール、大杉栄にとっての伊藤野枝やガンジーにとってのカストゥルバのように、大きなミューズであったことは間違いない。
ロトロとのつらい恋についても、「くよくよするなよ」などディランは多くの曲を作っている。
でも映画はロトロの影響についてほとんど語らない。彼女自身の描写も浅い。それどころか登場人物の中で彼女だけが名前を変えられている(ディランの希望だったようだ)。
ジェンダーに抵触しないように配慮しながら書かねばならないが、生きものとして女性は男性より優秀だと僕は思っている。(一般的に)男性よりもはるかに聡明で慈愛あふれる存在だ。
でも女性の社会的地位はごく最近まで(あるいは今も)低かった。だからこそ彼女たちは男性にとってのミューズとなった。プレスリーに憧れてリーゼントに髪を固めていたディランは、プロテストソングの旗手として成功した。






