コラム

「季節感」がない中国にバカ騒ぎの季節がやって来る

2016年12月08日(木)16時25分

XiXinXing-iStock.

<東京からわずか2時間ですばらしい自然を満喫でき、学校給食にも旬の食べ物が出る日本。一方、中国は「季節感」を完全に失ってしまった。その代わりに中国人はクリスマスやハロウィーン、光混節などの記念日で盛り上がろうとしているが......> (写真はイメージです)

 こんにちは、新宿案内人の李小牧です。

 スポーツの秋というにはちょっと遅くなったかもしれないが、先日、息子の一龍とともに筑波山に登ってきた。息子との時間を大事にしたいからだ。何度か本コラムで取り上げてきたが、2016年は私にとって新たなチャレンジの1年となった。中国での知名度が高まり、次々とビジネスや講演の依頼が舞い込んできたからだ。充実した日々を送っているが、唯一残念なのが息子と過ごす時間が減ってしまったこと。少しでも埋め合わせようと、時間が空けば必ず一緒にでかけるようにしている。

【参考記事】いま中国の企業家や投資家が知りたい3つのこと

 いろんなところに出かけたが、中でも登山は格別だ。親子のコミュニケーションが図れるばかりか、山登りという試練を与えることで一龍の成長を確かめることができる......と思ったのだが、私も登山は初体験。私にとっても厳しい試練となった。それでも美しい景色は格別だ。都心からわずか2時間でこれほどの自然がある日本のすばらしさを改めて感じた。そして同時に中国の現状にも思いをめぐらせた。

lee161208-2.jpg

9歳の息子、一龍と筑波山へ(提供:筆者)

中国語には「季節感」「旬」の言葉がない

 中国語には「季節感」や「旬」に相当する言葉がない。秋の上海ガニが有名だが、これほど有名になったのは近年のこと。いわば作られた伝統だ。

「季節感」が希薄なのは文化の違いといってしまえばそれまでだが、私の子供時代にはそれでもまだ季節の楽しみがあったように記憶している。中国内陸部の湖南省で育った私は、やんちゃで夏が大好きだった。夏ならではのスイカや、川での水泳がなによりの楽しみだったのだ。それにカイコ。小さな幼虫を育てるためにえさとなる桑の葉を取りに行くのも楽しかったし、育った後に食べられるのも最高だ(笑)。ゲテモノだと敬遠している人も多いようだが、なかなかの珍味だった。

 今の中国では、こうした美しい子供時代はあり得ない。大気汚染を避けるため外出はなるべく控えるのが常だし、誘拐が横行しているから祖父母が小学校の登下校に付き添うので友達と気ままに遊ぶこともできない。そもそも受験戦争に追いまくられているのでそんな暇はないのだが。

 もともと日本に比べれば希薄だったのだろうが、ここ数十年の急速な経済成長によって中国人の「季節感」「旬」は完全に失われてしまった。

 日本でも大都市部では自然が少なくなっているが、それでも東京から約2時間電車に乗るだけで筑波山に行けるのだ。もっと近場の自然も多い。学校の給食にも時おり旬の食べ物が出ることがあり、中国の子供たちと比べれば季節感や旬に関する知識、感覚は圧倒的に多いようだ。

 筑波山を登っている時も、見かけた植物について一龍が事細かに教えてくれた。残念ながらこの方面についての知識では息子に完敗している。それというのも彼は図鑑が大好きで毎週図書館に行って4、5冊借りてきては、飽きることなく眺めているのだ。自然体験と知識とを結びつけてくれる図書館というインフラが整っている点でも日本はすばらしい。

【参考記事】教育論議から考える、日本のすばらしいサービスを中国が真似できない理由

プロフィール

李小牧(り・こまき)

新宿案内人
1960年、中国湖南省長沙市生まれ。バレエダンサー、文芸紙記者、貿易会社員などを経て、88年に私費留学生として来日。東京モード学園に通うかたわら新宿・歌舞伎町に魅せられ、「歌舞伎町案内人」として活動を始める。2002年、その体験をつづった『歌舞伎町案内人』(角川書店)がベストセラーとなり、以後、日中両国で著作活動を行う。2007年、故郷の味・湖南料理を提供するレストラン《湖南菜館》を歌舞伎町にオープン。2014年6月に日本への帰化を申請し、翌2015年2月、日本国籍を取得。同年4月の新宿区議会議員選挙に初出馬し、落選した。『歌舞伎町案内人365日』(朝日新聞出版)、『歌舞伎町案内人の恋』(河出書房新社)、『微博の衝撃』(共著、CCCメディアハウス)など著書多数。政界挑戦の経緯は、『元・中国人、日本で政治家をめざす』(CCCメディアハウス)にまとめた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ベセント米財務長官、インドに対する追加関税撤廃の可

ワールド

米、嵐で16万戸超が停電・数千便が欠航 異常な低温

ワールド

市場の投機的、異常な動きには打つべき手を打っていく

ワールド

米ミネアポリスで連邦捜査官が市民射殺 移民取り締ま
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 2
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰に地政学リスク、その圧倒的な強みとは?
  • 3
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 4
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 5
    「楽園のようだった」移住生活が一転...購入価格より…
  • 6
    麻薬中毒が「アメリカ文化」...グリーンランド人が投…
  • 7
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 8
    私たちの体は「食べたもの」でできている...誰もが必…
  • 9
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 10
    「外国人価格」で日本社会が失うもの──インバウンド…
  • 1
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 2
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 3
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味を帯びる「超高齢化」による「中国社会崩壊」
  • 4
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 5
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 6
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 7
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 8
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 9
    韓国が「モンスター」ミサイルを実戦配備 北朝鮮の…
  • 10
    麻薬中毒が「アメリカ文化」...グリーンランド人が投…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 7
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 10
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story