コラム

邸宅でも島でも...性的虐待疑惑を赤裸々に告発された英アンドルー王子に、「身分を剝奪せよ」の声

2025年10月22日(水)18時50分

アンドルー王子は説明責任を果たす義務がある

「スキャンダルは終わっておらず、王室の名誉を深く傷つけ続けている。女王がこの事態を目にせずに済んだのは唯一の救いだ」「依然として彼は『王子』であり、居住するロイヤルロッジも王室と切り離せない。事実上、家賃を払わず住み続けていることも特権の象徴」

タイムズ紙はアンドルー王子がジュフリーさんの社会保障番号を警護官に渡し、調査を依頼していたことを問題視。プライバシー侵害と職権乱用にあたる疑いがあり、ロンドン警視庁に迅速かつ透明な捜査を求めている。アンドルー王子には説明責任を果たす義務がある。

ジュフリーさんが起こした訴訟でアンドルー王子が責任をあいまいにしたまま和解した際の約1200万ポンドとされる支払いもどこから出たのかはっきりしない。タイムズ紙は「王室問題に関して英国は依然として過去の遺物のままだ。敬意と秘密主義が蔓延している」と指摘する。

「内省の人生を送る場所に行った方が時間の節約」なのか

「政府はこの混乱に巻き込まれるのを避けようとチャールズ国王の問題だと主張している。王位継承順位8位の人物が平凡なウィンザーを名乗り、ゴルフと内省の人生を送ることができる場所に行った方がみんなの時間の節約になる」とタイムズ紙は皮肉る。

しかし、それで済まされるわけがない。

英紙ガーディアンの社説(10月20日付)は、ジュフリーさんの悲劇は「王室特権と民主的説明責任が衝突した時、誰が統治すべきか」という根源的な問いを突きつけていると指摘している。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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