安倍暗殺が起きたのは日本が「指示待ち」で「暫定的」な国家だから
ムラの中で、自分の持ち分を「ちゃんとやっている」ことが日々の糧を保証した。ムラから出てきた現代の日本人は、自分たちをまとめる原則をまだ持っていない。バラバラになって私権のカラに閉じ籠もる。
今では、(セクハラは別にして)パワハラ、何ハラと、気に入らないことには何でも「ハラ」を付けて自分を守る。これでは組織、そして社会は動かない。
考えてみると、戦後の日本はパブリックと個人の間を曖昧にしたままの、いわば暫定国家として生きてきたのだ。野党にとっての「パブリック」は戦前の弾圧を意味したから(与党の一部にはそうした向きが確かにある)、公権の強化に抵抗してきた。
西欧、そしてひと昔前のアメリカではパブリックとは民主主義そのものを意味したのだが。日本は終戦時の占領当局が起草した憲法(本来、暫定的なものだ)をそのまま使い続けており、世界でも稀有な「暫定国家」となっている。
自衛隊はもちろんのこと、天皇の地位さえ法的には暫定的。立法、行政、司法の三権のいずれにもはまらない、「象徴」としての人間――これは法的な概念ではない。
どうしたらいいのだろう? 憲法改正を叫んで済むものでもない。さしずめ、指示待ちではなく自分で考えて動く人間を増やさないと現場力は復活しない。日本の民主主義、経済にも活力が出ない。
アマゾンに飛びます
2025年12月23日号(12月16日発売)は「教養としてのBL入門」特集。実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気の歴史と背景をひもとく/日米「男同士の愛」比較/権力と戦う中華BL/まずは入門10作品
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
高市新総裁をいきなり襲う国内外の暴風雨 2025.10.18
軍事パレードの陰で進む金融危機──中国が直面する二つの試練 2025.09.10
トランプが復活させたアメリカの「ルーズベルト流」帝国主義 2025.08.30
チャットGPTに日本のポピュリズムについて聞いてみた! 2025.07.26
バンス米副大統領が信奉する新思想、「ポストリベラリズム」の正体 2025.07.11
トランプ肝いりの「ステーブルコイン」でドル急落? 2025.07.01
人口減少の日本が取り入れたい、デンマーク式「財団企業」の賢い経営 2025.06.14






