コラム

トランプが復活させたアメリカの「ルーズベルト流」帝国主義

2025年08月30日(土)14時45分

日露講和会議を仲介したルーズベルト(写真中央、1905年) PHOTO12ーUNIVERSAL IMAGES GROUP/GETTY IMAGES

<異形の大統領と言われるトランプだが、アメリカは100年前の帝国主義の時代に戻っただけ>

この頃の日本は、ポピュリズム多党制とか外国人排除とか、「何をやっても、何を言っても大丈夫」という暗黙の安心感の中でやりたい放題。だが、この安心を保証してきた戦後80年間の枠組みはいま色あせ、世界はエゴと力が支配する時代に入る。

例えば8月15日に世界を騒がせた「米ロ首脳会談」。多分トランプ米大統領はロシアのプーチン大統領と、ウクライナを「始末」することを考えていたのだろう。18世紀末、ロシアとドイツ、オーストリアがポーランドを分割して地図から消し去ってしまったほどではないにしても、ウクライナに領土を割譲させて停戦するのだ。


これがロシアの過剰な要求で消えたから、米ロ首脳会談は、トランプが言っていたロシア制裁強化(期限は8月8日だった)がうやむやになったことぐらいを(ロシアの)「成果」として終わった。

トランプのやっていることを見ると、「国際問題の歴史・経緯というものを全然勉強しない人だな」とつくづく思う。無責任なだけではない。「戦争はいけない」「戦争はやめろ」はいいのだが、成算があるわけでもなく、ついでにレアアース(希土類)などの開発利権をかすめ取ろうとする。ウクライナの場合、領土を割譲したら国の形を失うのだが、トランプにしてみれば平和というより、「オバマももらったノーベル平和賞」をもらうほうが大事なのだ。

プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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