コラム

ついに韓国は「中国の負け」に賭けた...中国王朝の変遷に翻弄された歴史で培われた「勝ち馬」を見抜く眼力

2023年07月04日(火)19時24分

こうした状況の結果、かつて存在した「来るべき時代は中国の時代になる」という理解が韓国で急速に失われつつある。時に誤解されるように、韓国の中国に対する認識は、「大国の中国に無条件に頭が上がらない」というものではない。

彼らの頭の中にある中国認識は、元が明に代わり、明が清に天下を譲ったように、複数ある「帝国」が互いに競い合い、覇権を争う図式である。そして、だからこそ移り変わる覇権国家の中で、「次」を見誤らないことが重要だ、と彼らは考える。

元と明の交代期に高麗が選択を誤って滅び、明から清への交代期に朝鮮が滅びゆく明を支持して女真に攻撃されたように、覇権国家選択の誤りは、時に王朝や国家に致命的な打撃を与えるからである。

そして、今日の韓国の中国に対する冷淡な態度は、彼らが「次」の覇権国家としての中国の存在に大きな疑問符を付けつつあることを意味している。だとすれば、尹政権による中国と距離を置いた親米路線は、われわれの予想以上にこの国に根付いていくのかもしれない。

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プロフィール

木村幹

1966年大阪府生まれ。神戸大学大学院国際協力研究科教授。また、NPO法人汎太平洋フォーラム理事長。専門は比較政治学、朝鮮半島地域研究。最新刊に『韓国愛憎-激変する隣国と私の30年』。他に『歴史認識はどう語られてきたか』、『平成時代の日韓関係』(共著)、『日韓歴史認識問題とは何か』(読売・吉野作造賞)、『韓国における「権威主義的」体制の成立』(サントリー学芸賞)、『朝鮮/韓国ナショナリズムと「小国」意識』(アジア・太平洋賞)、『高宗・閔妃』など。


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