コラム

日韓両国で窮地に追い込まれた旧統一教会、韓国での実態は日本とこれだけ違う

2025年12月25日(木)11時45分
統一教会

出頭する旧統一教会の韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁(25年9月) KIM HONG-JIーREUTERS

<日本とともに、韓国の旧統一教会が窮地に追い込まれている。ただし、一見同じように見える日韓のこの団体をめぐる状況は実は大きく違っている。どこが違うのか>

韓国における世界平和統一家庭連合(旧統一教会、韓国での略称は統一教)をめぐる議論が混乱している。発端となったのは、李在明(イ・ジェミョン)大統領による解散命令を念頭に置いた指示だった。12月2日の閣議にて「政教分離という非常に重要な原則を破って宗教団体が組織的に政治に介入した事例がある」と指摘した李は「日本では解散命令が出ているので検討してほしい」と訓令した。ちなみに統一教は韓国では依然、かつてと同じ法人格を有している。


とはいえ、一見同じように見える日韓のこの団体をめぐる状況は実は大きく違っている。第一は主たる問題の所在である。日本で問題とされたのは、同団体への信者の過剰な献金であり、それによる生活の破綻だった。他方、韓国で問題になっているのは信者の負担ではなく、この団体の政治的影響力である。とりわけ注目されているのは、尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の夫人である金建希(キム・ゴンヒ)に対する統一教による巨額贈賄疑惑と、尹政権時の与党であった「国民の力」に信者が大量に入党した問題である。すなわち、統一教がカネと信者の数により、韓国政治に影響を与えようとしたことが「政教分離」の原則に反している、とされている。

プロフィール

木村幹

1966年大阪府生まれ。神戸大学大学院国際協力研究科教授。また、NPO法人汎太平洋フォーラム理事長。専門は比較政治学、朝鮮半島地域研究。最新刊に『韓国愛憎-激変する隣国と私の30年』。他に『歴史認識はどう語られてきたか』、『平成時代の日韓関係』(共著)、『日韓歴史認識問題とは何か』(読売・吉野作造賞)、『韓国における「権威主義的」体制の成立』(サントリー学芸賞)、『朝鮮/韓国ナショナリズムと「小国」意識』(アジア・太平洋賞)、『高宗・閔妃』など。


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

原油先物は反落、週間で4.6%安 米がエネ施設攻撃

ビジネス

三菱ケミ、食品包装用ラップフィルム35%以上値上げ

ワールド

EUがスナップチャット調査、未成年者保護不十分と警

ワールド

中国でパナマ籍船拿捕が急増、状況を注視=米連邦海事
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 2
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終回に世界中から批判殺到【ネタバレ注意】
  • 3
    「俺たちはただの人間だ」――BTSが新アルバム『ARIRANG』に託した想い、全14曲を【徹底分析】
  • 4
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 5
    親の遺産はもう当てにできない? ベビーブーム世代…
  • 6
    まずサイバー軍が防空網をたたく
  • 7
    意外と「プリンス枠」が空いていて...山崎育三郎が「…
  • 8
    デンマーク王妃「帰郷」に沸騰...豪州訪問で浮かび上…
  • 9
    「予想よりも酷い...」ドラマ版『ハリー・ポッター』…
  • 10
    実は「ミュージカルはポリティカル」?...社会の闇を…
  • 1
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公開...母としての素顔に反響
  • 2
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 3
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラリアの「NVES規制」をトヨタが切り抜けられた理由
  • 4
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 5
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店…
  • 6
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」…
  • 7
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 8
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 9
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 10
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story