コラム

東京五輪後のレガシーだったはずの共生社会はどこへ?

2023年03月17日(金)18時48分

問われる東京都と社会の責任

結局、最大の問題は東京がどんな街を目指し、そのためにオリ・パラというイベントがどのような形で実現に貢献できるのかという議論を怠ってきたことにある。「共生社会の実現」一つをとっても、それを開催までのお題目と考える人々と、真剣に目指そうとして協力してきた当事者の間には決定的なズレがあった。意識のズレは、大会という大きな目標が存在している間は表面化しないで済む。だが「大会が終わればゴール」という考えでは、レガシーをめぐる議論は空中分解する。

今や東京オリ・パラの話題の中心は東京地検特捜部による談合などの捜査の行く末だ。事件化した大会組織委のスキャンダルは徹底的に解明されるべきものである。しかし、事件があるからといってレガシーをめぐる議論を放置していい理由にはならない。当事者からの問いに応じなければいけないのは東京都、そして社会のほうだ。

プロフィール

石戸 諭

(いしど・さとる)
記者/ノンフィクションライター。1984年生まれ、東京都出身。立命館大学卒業後、毎日新聞などを経て2018 年に独立。本誌の特集「百田尚樹現象」で2020年の「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞作品賞」を、月刊文藝春秋掲載の「『自粛警察』の正体──小市民が弾圧者に変わるとき」で2021年のPEPジャーナリズム大賞受賞。著書に『リスクと生きる、死者と生きる』(亜紀書房)、『ルポ 百田尚樹現象――愛国ポピュリズムの現在地』(小学館)、『ニュースの未来』 (光文社新書)など

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