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EU、結束阻むハンガリー「封じ」に本腰...親露貫くオルバン政権に波乱の予感
「2009年までは、ハンガリーの首相はロシアに対して非常に批判的でした。特にジョージア侵攻の際にはそうでした。オルバン氏の政党はウラジーミル・プーチン大統領との会談の後に、完全に方針を転換しました。あまりにも急激な変化であったため、オルバン氏の選挙運動にロシアの資金が投入されたのではないかという疑念さえ生じています」と、フランスと中欧の政治関係を専門とするマチュー・ボワドロン氏は、『ラ・デペッシュ』に語っている。逆説的なことに「ハンガリー国民の多くは親EU派です」とも述べている。
そんなオルバン首相には、国内でも逆風が吹き始めている。
2カ月前にYouTubeで公開された「王朝 オルバン家の経済帝国はいかにして誕生したか」というハンガリー語のビデオがある。オルバン一族と取り巻きに富が集中していることへの疑問や批判を描いたものだ。現在362万回再生されている(ちなみにハンガリーの人口は約960万人である)。
1カ月ほど前には英語字幕しかなかったのに、今ではスロバキア語とチェコ語の字幕も増えている
次のハンガリー総選挙は、来年2026年4月の予定である。台風の目となりそうなのが、マジャル・ペーテル氏という、44歳の野党党首の政治家だ。「EUはハンガリーを植民地化しようとしている」などとプロパガンダを張るオルバン政権とは対照的で、彼は現在、欧州議会議員で、中道右派に属している。
ロシアでは、反体制の野党党首アレクセイ・ナワリヌイ氏が極寒の獄中で死亡した。トルコでは3月下旬、レジェップ・タイップ・エルドアン大統領の最大のライバルと言われ、野党の主要人物であるイスタンブール市長、エクレム・イマモール氏が汚職容疑などで収監された。
EUのプレッシャーに国内の変化、国際刑事裁判所(ICC)を脱退するまでに追い詰められているオルバン首相。次の選挙まで1年をきったハンガリーでは、今年、何か大きな波乱がありそうだ。