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ネタニヤフ氏、トランプ氏のガザ和平計画推進圧力と極右派反発で板挟み

2025年10月06日(月)08時35分

10月5日、トランプ米大統領(写真左)が自ら提示したパレスチナ自治区ガザの和平計画を推進するようイスラエルに迫る一方、イスラエル与党政権内の極右派は計画に反発しており、ネタニヤフ首相(右)は苦しい立場に置かれている。9月29日、ワシントンで撮影(2025年 ロイター/Kevin Lamarque)

Alexander Cornwell

[エルサレム 5日 ロイター] - トランプ米大統領が自ら提示したパレスチナ自治区ガザの和平計画を推進するようイスラエルに迫る一方、イスラエル与党政権内の極右派は計画に反発しており、ネタニヤフ首相は苦しい立場に置かれている。場合によっては政権崩壊の危機に直面し、来年10月までに義務付けられた次期総選挙を早々と実施することを迫られる可能性もある。

ネタニヤフ氏はトランプ氏が打ち出した20項目の和平計画を受け入れる姿勢で、イスラム組織ハマス側も人質解放交渉に応じる態勢を示すなど計画に前向きな反応を見せている。

ただイスラエルの極右派は、ハマスが引き続き存続し、人質解放後にガザの戦後計画を巡る議論に参加する可能性がある点を猛烈に批判。ベングビール国家安全保障相は「いかなる状況においても、イスラエル国家に最大の災厄をもたらしたテロ組織が復活するシナリオには同意できない。われわれは断じてそのような取り決めには加担しない」とX(旧ツイッター)に投稿し、政権離脱の可能性まで示唆した。

極右派の閣僚がネタニヤフ氏は戦争終結のために譲歩し過ぎだと考えれば、連立政権の基盤が危うくなりかねない。

一方でガザの戦争を継続ないし拡大すれば、ハマスになお拘束されたままの人質の家族の反感を買い、戦争に疲れている国民や、イスラエルの同盟国からさらに冷淡な態度を取られるだろう。

戦争を終わらせられないと、イスラエルが米国の仲介で2020年にアラブ諸国と締結した国交正常化合意(アブラハム合意)の対象をサウジアラビアなどにも広げたいという希望も消えてしまう。

トランプ氏はアブラハム合意拡大を政権の優先課題の1つに挙げているが、サウジはガザの戦争が終結し、パレスチナ国家成立への道筋が定まらない限り、イスラエルと国交正常化はしないとの方針を明確に示している。

こうした中でトランプ氏はイスラエルにガザ攻撃を中止し、まず6日から仲介国エジプトで始まるハマスとの人質解放に向けた間接交渉に応じるよう促した。

しかしイスラエル極右派のスモトリッチ財務相は4日、ガザ攻撃停止を「重大な間違い」と呼び、人質解放やハマスの壊滅、ガザ非武装化という目的を達成する上でイスラエルの立場を弱めてしまうと訴えた。

ロイター
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