自民党総裁に高市氏、初の女性 「自民党の新しい時代を刻んだ」

10月4日午後、自民党総裁選は、高市早苗前経済安全保障担当相(64、写真)が決選投票で小泉進次郎農林水産相を破って勝利した。9月、東京で撮影(2025年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
Yoshifumi Takemoto
[東京 4日 ロイター] - 自民党総裁選は4日午後、高市早苗前経済安全保障担当相(64)が決選投票で小泉進次郎農林水産相を破って勝利した。女性が同党の総裁に就任するのは初。今月中旬にも召集される臨時国会で首相に選出される見通しで、党の立て直しのほか、物価高や外国人政策などの国内問題に対処、今月下旬の訪日を調整するトランプ米大統領とも渡り合わなくてはならない。
高市氏は新総裁選出後に演説し、「自民党の新しい時代を刻んだ」と述べ、「全員参加でないと自民党を立て直せない。これから謙虚にやっていくので様々なご指導をたまわりたい」と語った。「私自身もワークライフバランスという言葉を捨てる。働いて、働いて、働いて、働いて、働いていく」と話した。
高市氏は保守的な考えで知られ、中国や韓国などとの関係が緊張するとの見方もある。しかし、アジアグループの林由佳バイスプレジデントは「実際には現実路線で控えめに政策を進める可能性が高い」と話す。「自民党は厳しい立場に立たされており、アジアへの強硬姿勢が原因で分裂するようなことは避けたいだろう」と語る。
経済政策では今回の総裁選で給付付き税額控除や国債増発に前向きな発言を繰り返し、株式市場は高市氏の勝利を織り込んで上昇する場面があった。りそなホールディングスの武居大暉ストラテジストは「自民党初の女性総裁ということは、投資家に変化を強く意識させる可能性がある」とみる。「海外勢が構造改革を期待して現物で買ってくるようなら、中長期の緩やかな上昇継続が見込めそうだ」と言う。
複数の政府・与党関係者によると、新総裁は就任直後に党役員人事に着手する。自民、公明両党は衆参で少数与党に陥っているものの、野党側が首班指名で結束する気配はなく、10月中旬に召集される臨時国会で新首相に選出される可能性が高い。指名されれば日本の憲政史上、初めて女性の首相が誕生する。17日にも新首相としての所信表明を行う案が出ている。
高市氏は昨年9月の前回総裁選にも立候補したが、石破茂現首相との決選投票で敗れた。今回の決選投票は高市氏が小泉氏を議員票、党員票ともに上回った。高市氏は計185票、小泉氏は156票だった。
1回目の投票でも高市氏が183票、小泉氏が164票を獲得した。3位以下は、林芳正官房長官が134票、小林鷹之元経済安保担当相が59票、茂木敏充前幹事長が49票だった。
<決選投票結果>
議員票 党員・党友票 合計
高市氏 149 36 185
小泉氏 145 11 156
<1回目投票結果>
議員票 党員・党友票 合計
小林氏 44 15 59
茂木氏 34 15 49
林氏 72 62 134
高市氏 64 119 183
小泉氏 80 84 164
(竹本能文 取材協力:杉山聡、平田紀之、鬼原民幸)