インドネシア、違法な天然資源開発の取り締まり強化へ

8月15日、インドネシアのプラボウォ大統領(写真)は独立記念日に合わせた初の施政方針演説で、違法な天然資源開発の取り締まりを強化する方針を示した。写真は同日、ジャカルタで代表撮影(2025年 ロイター)
Bernadette Christina Stanley Widianto
[ジャカルタ 15日 ロイター] - インドネシアのプラボウォ大統領は15日、独立記念日に合わせた初の施政方針演説で、違法な天然資源開発の取り締まりを強化する方針を示した。
調査の結果、スイスの国土にほぼ匹敵する370万ヘクタールに及ぶパーム油プランテーションが違法に操業していたことが判明したという。
また、計500万ヘクタールのパーム油プランテーションが調査対象になっているとも表明。(1)保護林地域で操業している(2)実際の操業規模を報告していない(3)監査当局からの呼び出しに応じない――ことが理由という。
プラボウォ氏は国会で「インドネシア国民が貪欲な経済の犠牲にならないようにする」と発言。政府がすでに軍の協力を得て310万ヘクタールの違法パーム油プランテーションを差し押さえたことを明らかにした。
同氏は「抵抗がある場合が多いため、軍が同行している」と説明したが、市民生活への軍の介入強化を懸念する声も出ている。プラボウォ氏は軍の特殊部隊司令官の出身だ。
同氏は、法律に違反する企業については国が資産を没収する可能性があると警告。鉱業の取り締まりを強化する方針も示し、国内で1063件もの違法操業の報告を受けていると述べた。
インドネシア・パーム油協会(GAPKI)のエディ・マルトノ会長は、大統領が言及した500万ヘクタールという数字の根拠に疑問を呈し、協会には事前に相談がなかったと主張した。
また、違法操業が指摘された370万ヘクタールについても、運営企業・協同組合の一部には土地利用権や所有権証明書など、許可証があるとし「インドネシアのパーム油産業が森林を破壊しているといった国際的なイメージ悪化につながる」と懸念を示した。
プラボウォ氏は、重要なコモディティーの不正な貯蔵・利用に関与した企業を処分するとも表明。コメの品質と手頃な価格を維持するため、大規模な精米工場に政府の許可取得を義務付ける方針も示した。