米ロ首脳会談前にロ軍が攻勢、ウクライナ・欧州は不利な和平条件懸念

ロシアのプーチン大統領とトランプ米大統領の首脳会談を15日に控える中、ロシア軍はウクライナ東部で攻勢を強めている。写真は攻撃するウクライナ軍。8月11日、ウクライナのハルキウ州で撮影(2025年 ロイター/Sofiia Gatilova)
Andrew Osborn Lili Bayer
[モスクワ/ブリュッセル 12日 ロイター] - ロシアのプーチン大統領とトランプ米大統領の首脳会談を15日に控える中、ロシア軍はウクライナ東部で攻勢を強めている。占領地域を広げ、ウクライナに領土割譲圧力をかける可能性があり、欧州首脳らは米ロ首脳会談がウクライナに不利な和平条件を押し付ける可能性を懸念する。
ロシア軍はウクライナ東部ドネツク州の完全制圧を目指し、鉱山都市ドブロピリャ付近まで前進した。
トランプ大統領は、和平合意にはロシアとウクライナの「双方にとって利益となるような」領土の交換が含まれると述べている。
しかし、争われている地域は全てウクライナ国内にあるため、ゼレンスキー大統領や欧州連合(EU)諸国は、ロシアよりもはるかに多くの領土を放棄するようウクライナに圧力がかかることを懸念している。
米ホワイトハウスは12日、米ロ首脳会談について、理解を深める機会になるとし、停戦に向けた大きな進展への期待を和らげた。
ホワイトハウスのレビット報道官は、今回の会談にはロシア・ウクライナ戦争の当事者のうち一方のみが参加するとした上で、「この戦争をいかに終結に導けるか、トランプ大統領がより確かな理解を得るための機会になる」と指摘。「トランプ大統領にとってリスニング・エクササイズ(傾聴)の場になる」と述べ、停戦合意が直ちにまとまるわけではないとの見方を示唆した。
ゼレンスキー氏と欧州首脳の多くは、ウクライナが交渉の席に着かなければ永続的な和平は得られないとし、合意は国際法、ウクライナの主権、領土の一体性に則ったものでなければならないと述べている。
ゼレンスキー氏と欧州首脳は13日にトランプ氏とオンライン協議を行い、こうした懸念を強調する方針だ。
ゼレンスキー氏は12日、領土問題はロシアが停戦に合意した後に議論するべきことだとし、ウクライナ軍を東部ドンバス地域から撤退させるようロシアが提案した場合、ウクライナは拒否すると述べた。
EU加盟のハンガリーを除く26カ国の首脳は12日、ウクライナ国民は自分たちの将来を決める自由を持つべきであり、外交的解決策はウクライナと欧州の利益を守るものでなければならないとする声明を発表した。プーチン氏に近いハンガリーのオルバン首相は承認しなかった。
オルバン氏は12日、米ロ首脳会談を前に、ロシアはウクライナ戦争に勝利したと述べた。