ホルムズ海峡でタンカー航路変更相次ぐ 封鎖や米攻撃へのイラン報復懸念

米軍のイランに対する攻撃を受け、ホルムズ海峡付近で大型タンカーなどに航路を変更する動きが相次いでいることが船舶追跡情報で明らかになった。22日撮影(2025年 ロイター/Dado Ruvic)
[シンガポール/ロンドン 23日 ロイター] - 米軍のイランに対する攻撃を受け、ホルムズ海峡付近で大型タンカーなどに航路を変更する動きが相次いでいることが船舶追跡情報で明らかになった。米国がイスラエルによるイラン攻撃への加担を決めたことで、イランが海峡を封鎖し、報復するとの懸念が高まっているためだ。
ホルムズ海峡は世界の石油・ガスの約2割が行き交う海上輸送の大動脈となっている。原油価格が大幅に上昇するとの見方が高まっているほか、200万バレルの原油を運搬できるタンカーの運賃もこの1週間で2倍以上に急騰している。
ケプラーとLSEGのデータによると、大型原油タンカー(VLCC)「コスウィズダム・レイク」は22日以降、ホルムズ海峡から引き返し、アラブ首長国連邦(UAE)の港へ向かった。LSEGによると、VLCC「サウス・ロイヤルティー」もUターンした。
シンガポールを拠点とする海運関連企業によると、これまで1週間でペルシャ湾に入る空荷のタンカーは5月上旬の水準から32%減、湾から出る積載済みタンカーは27%減少した。
日本郵船と商船三井は23日、海峡通過を続けるが、船舶にペルシャ湾での滞留時間を最小限にとどめるよう指示したと発表した。台湾の石油製品企業の広報担当者も、船主が同様の措置を取っていると指摘した。
イラン議会は22日にホルムズ海峡封鎖を承認したと報じられたが、実行には国家安全保障最高評議会の承認が必要とされる。イランは過去にも海峡封鎖の構えを示したことはあるものの、実際には封鎖に踏み切ってこなかった。