米厚生長官、ビデオ声明でWHO批判 他国にも脱退検討呼びかけ

世界保健機関(WHO)がスイスのジュネーブで開いている年次総会で20日、会場にロバート・ケネディ・ジュニア米厚生長官がWHOを批判するビデオ声明が流された。14日撮影(2025年 ロイター/Leah Millis)
[ジュネーブ 20日 ロイター] - 世界保健機関(WHO)がスイスのジュネーブで開いている年次総会で20日、会場にロバート・ケネディ・ジュニア米厚生長官がWHOを批判するビデオ声明が流された。ビデオ声明に対する明確な反応はすぐには見られず、出席した各国の閣僚や外交関係者の大半は沈黙を保った。
トランプ米大統領は2期目の就任直後、WHOからの脱退を表明。トランプ氏はWHOが新型コロナウイルスを巡って対応を誤り、中国寄りだと非難している。
ケネディ氏は、ワクチンの安全性や有効性について疑念を投げかけるワクチン懐疑派として知られる。ビデオ声明ではWHOについて「官僚主義が肥大化しているほか、既成概念に固着している。利害の対立や国際的な権力闘争に陥っている」と批判。「米国の脱退を警鐘と受け止めるべきだ」とした上で、「同じような考えを持つ国々と連絡を取っており、他国も米国に続くよう検討を呼びかけている」と述べた。
ケネディ氏は「瀕死のWHOの限界に苦しむ必要はない。効率的で透明性と説明責任を果たす新たな機関を創設するか、既存の機関を見直すべきだ」とも訴えた。
最大拠出国だった米国の動きを受け、WHOは大幅な予算不足に陥っており、総会では対応策の検討が主要議題に位置付けられている。また、20日はケネディ氏のビデオ声明に先立ち、感染症対策を強化する新たな国際条約「パンデミック条約」を採択した。ケネディ氏は、この条約に関して「WHOのパンデミック対応のあらゆる機能不全を固定化する」と主張した。