バイデン氏のがん診断、在任中の健康状態巡る疑問再燃

5月19日、バンス米副大統領は、前立腺がんと診断され、骨に転移していると発表されたバイデン前大統領について、在任中に健康状態に関する情報を国民にもっと提供すべきだったとの見解を示した。ホワイトハウスで1月15日、代表撮影(2025年 ロイター)
Andy Sullivan
[ワシントン 19日 ロイター] - 前立腺がんと診断され、骨に転移していると発表されたバイデン前米大統領(82)について、在任中の健康問題の程度を巡る疑問が再燃している。トランプ大統領は19日、バイデン氏は国民に対してもっと透明性を保つべきだったとの見方を示した。
トランプ氏は記者団に、ここまで悪化するには長い時間がかかると指摘し「国民にもっと前に知らされていなかったことに驚いている」と語った。
折しも再選を目指していたバイデン氏を巡り、民主党内や側近の間で同氏の深刻な認知機能の衰えに対する懸念が広がっていた経緯を記した2人のジャーナリストによる書籍「オリジナル・シン(原罪)」が出版され、改めて注目を集めている。
バンス副大統領も、在任中に健康状態に関する情報を国民にもっと提供すべきだったとの見解を示した。バイデン氏の回復を願うとしながらも「国民は彼の健康状態をもっと把握し、実際にどんなことに対処していたのかに、より正確な情報を知ることはできなかったのだろうか」と疑問を呈した。
バイデン氏の代理人はコメントの要請に応じなかった。
バイデン氏自身は8日、ABCテレビの番組に出演した際、在任中に認知機能が衰えたとの見方を否定。「それを裏付ける材料は何もない」と言い切った。
<医師も驚き>
一方バイデン氏の診断結果については、複数の医師が通常はここまで進行する前に発見されるがんだとロイターに語り、驚きだと受け止められている。
ノースウェスタン・ヘルス・ネットワークのがんプログラム医療ディレクター、クリス・ジョージ医師は「バイデン氏は毎年、徹底的な健康診断を受けていたはずだ」とし「過去1年以内に(血液検査で)異常がなかったというのは、私には信じがたい」と語った。
ニューヨーク大学ランゴーン医療センターの泌尿器科医、ハーバート・レポー医師も、利用可能なスクリーニングの選択肢を考えると「これほど遅い段階でがんを発見するのは現代では少し珍しい」と述べた。
米疾病対策センター(CDC)によると、前立腺がんの約70%は、他の臓器に転移する前に発見される。