ニュース速報
ワールド

トランプ氏顧問がウクライナ戦争終結計画、良い反応得たと明かす

2024年06月26日(水)00時47分

米大統領選で返り咲きを目指すトランプ前大統領の主要顧問2人が、ロシアのウクライナ戦争終結に向けてトランプ氏に提示した計画の内容が分かった。写真はキース・ケロッグ氏。2020年9月撮影(2024年 ロイター/Carlos Barria)

Gram Slattery Simon Lewis

[ワシントン 25日 ロイター] - 米大統領選で返り咲きを目指すトランプ前大統領の主要顧問2人が、ロシアのウクライナ戦争終結に向けてトランプ氏に提示した計画の内容が分かった。ウクライナが和平交渉入りした場合にのみ米国からさらに兵器が供与されることが盛り込まれている。

国家安全保障問題担当アドバイザーのキース・ケロッグ氏とフレッド・フレイツ氏がロイターとのインタビューで明らかにした。

米国は同時に、ロシアに対しては交渉を拒否すればウクライナへの支援が強化されると警告する。計画では和平交渉中の戦闘線に基づいて停戦が行われることになるという。

フレイツ氏はトランプ氏に戦略を提示したところ、好意的な反応が返ってきたと明らかにした。ただ「彼がそれに賛成したとか、文言の全てに同意したと言っているわけではない」とも語った。

一方、トランプ氏の広報担当者スティーブン・チャン氏は、トランプ氏または同氏陣営で権限のあるメンバーによる発言のみが公式なコメントと見なされるべきだと述べた。

トランプ氏は自身が大統領選で勝利すればウクライナ戦争を迅速に解決できると述べているが、具体的な内容についてはこれまで明らかにしていない。

<内外の反応>

ロシア大統領府(クレムリン)のぺスコフ報道官は、トランプ陣営のウクライナ和平案について、現地の現実を反映したものでなければならないとの見解を示した。

ウクライナのポドリャク大統領府顧問はロイターに対し、ロシアがウクライナを侵攻し、国際法に違反していることを踏まえると、最前線での敵対行為を凍結するのは「解せない」とコメント。ゼレンスキー大統領が提案している和平案には「平和は公正かつ国際法に基づくもののみでと明確に述べられている」と語った。

米ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)のワトソン報道官は「バイデン大統領は、(和平)交渉に関するいかなる決定もウクライナ次第だと考えている」とし、ウクライナにロシアとの交渉を強制することはないという考えを示した。

<NATO加盟は留保>

ケロッグ氏は、ロシアとウクライナを迅速に交渉のテーブルに着かせることが重要だと述べた。

ケロッグ、フレイツ両氏が幹部を務めるシンクタンクの研究論文は計画の中核要素を説明しており、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟を長期間先延ばしにするという約束によって、テーブルに着くようロシアを説得できるとしている。

フレイツ氏は、計画の下ではウクライナがロシアに正式に領土を割譲する必要はないと説明。ただ、ウクライナが近いうちに全領土の実効支配を回復する見込みは低いとした。

「われわれの懸念はこの戦争が若い世代を殺す消耗戦になっていることだ」と述べた。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

利下げには追加データ待つべきだった、シカゴ連銀総裁

ビジネス

インドCPI、11月は過去最低から+0.71%に加

ビジネス

中国の新規銀行融資、11月は予想下回る3900億元

ビジネス

仏ルノー、モビライズ部門再編 一部事業撤退・縮小
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 2
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 3
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれなかった「ビートルズ」のメンバーは?
  • 4
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 5
    【揺らぐ中国、攻めの高市】柯隆氏「台湾騒動は高市…
  • 6
    受け入れ難い和平案、迫られる軍備拡張──ウクライナ…
  • 7
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 10
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 7
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 10
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中