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アングル:熱帯雨林アマゾン、道路整備に賛否 干上がる水運

2024年05月20日(月)08時53分

ブラジルのアマゾン熱帯雨林を貫く国道319号線は今、世界最大の熱帯雨林アマゾンでインフラ事業と環境保護をどのように両立するのかという課題を象徴する存在となっている。写真はアマゾナス州カレイロ・ダ・バルゼアの干上がった河床。2023年10月撮影(2024年 ロイター/Bruno Kelly)

Andre Cabette Fabio

[レアリダーデ(ブラジル) 15日 トムソン・ロイター財団] - ブラジルのアマゾン熱帯雨林を貫く国道319号線(BR─319)は、アマゾナス州の州都マナウスとロンドニア州の州都ポルトベリョを結ぶ幹線道路だ。総延長は885キロに及び、北に向かうほどアスファルトの舗装が薄くなり、木材を運ぶトラックは道路上の穴を避けてジグザグに走る。1970年代の建設以降に舗装の多くが失われ、6カ月間続く雨季には多数の区間がぬかるみと化す。

BR─319は今、世界最大の熱帯雨林アマゾンでインフラ事業と環境保護をどのように両立するのかという課題を象徴する存在となっている。気候変動に伴う干ばつの多発でこの地域の水運が難しくなり、ルラ政権はBR―319再舗装化を宣言。経済的利益や地域住民の生活改善、森林破壊などの観点から道路整備の是非が問われる事態となっているためだ。

研究者らはBR─319補修により、ブラジルで最も保存状態の良い熱帯雨林の大部分が集中するアマゾナス州で森林伐採が急増し、気候変動と闘うために森林の減少を食い止めようとするルラ政権の取り組みが脅かされる恐れがあると懸念している。

しかし、道路補修を求める声は大きくなるばかりだ。

昨年の記録的な干ばつでアマゾンの水路は水位が極端に低下。船舶の航行がほぼ不可能になり、農民や住民はBR―319に頼らざるを得なくなった。

フマイタ市レアリダーデ地区では2013年に未舗装部分の整備が再開し、主要都市までの所要時間が大幅に短縮された。舗装工事はまだ始まっていない。

フマイタ市のデデイ・ロボ市長は工事を歓迎している。5月から水不足がさらに深刻化し、BR―319の必要性が高まると考えている

道路補修が環境問題に及ぼす影響については、「列車や地下鉄、路面電車などがある数々の『世界の一等国』から資金提供を受けたNGOが始めた一時的なブーム」にすぎないと一蹴。アマゾン川流域の住民が暮らしているのは「(NGOが神聖視する自然という)祭壇の中」と思い込んでいると呆れる。

市長は、環境保護区の森林伐採は連邦政府の検問所再稼働で食い止められるはずだと主張する。

しかし、草の根環境保護団体で構成する「アマゾン学際ネットワーク(RETA)」は、レアリダーデ近郊はBR─319の補修工事がすでに地価を押し上げていると指摘。コーディネーターのディオネイア・フェレイラ氏は、補修が土地の強奪と森林破壊に拍車をかけていると話す。

環境保護活動家はBR―319の開発によって伐採者や農民、土地収奪者による無許可の側道の延伸を警戒している。この側道は宇宙から見ると魚の骨のように見えることから「フィッシュボーン」と呼ばれる。天文台の23年の分析によると、BR─319に沿って作られた違法な側道は5092キロに達していた。

<悪循環>

23年に政権に復帰したルラ氏はアマゾン保護の政策を打ち出したが、強力な農業ロビー団体と地元住民の強い要求を受け入れ、BR―319の舗装を約束。議会下院は12月、舗装を可能にするために環境規制を緩和する法案を可決した。この法案は、欧米諸国が支援する13億ドルのアマゾン基金など自然保護基金の舗装プロジェクトへの利用を認めるものだ。

政府は27年までに406キロの中間区間を舗装する計画で、今年の4月下旬にはすでに環境許認可を取得している20キロの北部区間を舗装するための入札手続きを開始した。

専門家からは、アマゾン地域で道路を拡張すれば森林破壊が進み、そもそも陸上輸送網の整備が必要になった原因である気候変動問題をさらに悪化させるのではないかと懸念している。

「道路舗装は森林伐採にも影響し、干ばつのリスクを高めるかもしれない」と、イマゾン環境研究所のカルロス・ソウザ・ジュニア氏は言う。

一方、レアリダーデのような地域では、森林破壊の進行が必ずしも悪いことだとは誰も思っていない。

レアリダーデでコーヒーを生産するノルベルト・ラウレさんは、森林伐採によって「日々の糧がもたらされ、大都市に住まなくても済むようになる」としつつ、伐採は法にのっとって行わなければならないと語る。

補修作業は順調に進んでいる。ブラジルの宇宙研究所によると、12―22年にフマイタの年間森林伐採量は20倍に急増。アマゾナス州南部は農業ビジネスと森林喪失の新たなフロンティアとしての地位を確固たるものとした。

<賛成派は影響否定>

補修を支持する人たちは、この道路が森林伐採を促しているとの見方を否定する。

コロネル・クリソストモ下院議員は「この道路は50年前からあるが、中央部の未舗装部分では森林伐採は起こっていない」と述べた。

また、森林伐採の悪影響を受けている人たちの多くも、BR―319の舗装によって遠隔地へアクセスしやすくなるというメリットを感じている。

農業を営むホセ・アントニオ・デ・フレイタスさんは、新たに開拓された広い土地に引かれて10年にレアリダーデに定住した。ルラ大統領なら過去の実績からプロジェクトを推進できると確信している。「反対派は成長と発展について考えていない。私はトラックの税金を払っているのだから道路は整備されるべきだ」と述べた。

ロイター
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