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27日に安倍元首相国葬、世論割れたまま 内閣支持率を直撃
政府は27日、7月に銃弾に倒れた安倍晋三元首相の国葬を行う。連続在任期間が戦後最長となった元首相の死を国内外が悼む中、岸田文雄政権は国葬の実施を決めたが、銃撃事件は与党・自民党と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関係を明るみにした。写真は7月12日、東京の自民党本部で撮影(2022年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
[東京 26日 ロイター] - 政府は27日、7月に銃弾に倒れた安倍晋三元首相の国葬を行う。連続在任期間が戦後最長となった元首相の死を国内外が悼む中、岸田文雄政権は国葬の実施を決めたが、銃撃事件は与党・自民党と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関係を明るみにした。国葬に反対する声は日増しに強まり、内閣支持率は急落、世論が割れたまま当日を迎える。
国葬は27日午後2時から東京・千代田区の日本武道館で行われ、インドのモディ首相やオーストラリアのアルバニージー首相、ハリス米副大統領など海外から約700人の要人が出席する。中国からも全国政治協商会議の万鋼副主席が、ロシアからもシュビトコイ国際文化協力担当大統領特別代表が参加する。国内からは約3600人が参列する。
岸田首相が国葬の実施を表明したのは安倍氏の急死から6日後の7月14日。各国から弔意が寄せられ、東京・港区の増上寺で行われた葬儀に弔問の長い列ができるなど、追悼ムードに包まれていた。国葬は法律に規定がなく、戦後の首相経験者では吉田茂氏以外に前例がなかったが、岸田首相は在任期間の長さや外国首脳からの評価、民主主義の根幹である選挙中に暗殺されたことなどを理由に挙げ、閣議決定した。
しかし、逮捕された銃撃の容疑者が動機に挙げた旧統一教会が、与党・自民党の議員と広く関係していたことが次々と表面化すると風向きが変わった。物価対策への評価と相まって支持率に影響が出始めた。
岸田首相は自民党と教会の関係を断ち切ると表明。9月上旬の内閣改造に当たり、閣僚に教会との関係を調査するよう命じた。自民党も所属する国会議員に調査を命じ、379人中179人が何らかの関係があったと発表した。ところが、その後も調査漏れや新たな関係が相次ぎ発覚。閣僚にも新たに問題が見つかっている。
報道各社が9月中旬に実施した世論調査によると、岸田政権の支持率は軒並み急落。毎日新聞の調査では36%から29%に低下し、初めて30%を割り込んだ。日本経済新聞は14ポイント減の43%、共同通通信は13.9ポイント減の40.2%だった。
最も厳しい結果となった毎日新聞の調査によると、統一教会を巡る対応を評価しないは72%、国葬に反対は62%だった。
日本大学の岩井奉彰名誉教授(政治学)は「統一教会が大きな話題になってから支持率が下がり、国葬に対する批判が高まった」と指摘する。「岸田首相には誤算だった。当初は国葬に賛成する人が多かったが、状況ががらりと変わってしまった。少し焦りすぎたと思う」と話す。
政府は国葬の費用を16億6000万円程度と見積もっている。今年度の予備費と予算から賄う。高額な費用に批判もあるが、岸田首相は来日する要人と会談できる「弔問外交」のメリットを強調する。松野博一官房長官によると、30を超える個別会談を想定している。26日にはハリス米副大統領と会談する。
松野博一官房長官は21日の会見で、「安倍元総理が培われた外交的遺産をしっかり受け継ぎ、発展させるという意思を内外に示す」と語った。
(Elaine Lies、久保信博 編集:石田仁志)