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アングル:北朝鮮の新型ICBM、従来型とどう違うか

2017年12月02日(土)09時30分

 11月29日、北朝鮮は、国営メディアを通じ、米国本土全域を攻撃できる新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15」の発射実験に成功したと発表。写真はTVニュースを観る人々。ソウルで撮影(2017年 ロイター/Kim Hong-Ji)

[ソウル 29日 ロイター] - 北朝鮮は29日、国営メディアを通じ、米国本土全域を攻撃できる新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15」の発射実験に成功したと発表した。

北朝鮮は火星15について、7月に2度発射したICBM「火星14」より「技術的特性がはるかに優れている」と説明した。

<高度、距離>

2カ月半ぶりに発射された今回のミサイルは53分間飛行して最高高度が4475キロメートル、飛行距離が950キロメートルだった。

米国に本部を置くユニオン・オブ・コンサーンド・サイエンティスツは「仮に(これらの数値が)正確で標準軌道上を飛行したのなら、1万3000キロメートルを超える距離を飛行できることになる」と説明した。

この場合、理論上は首都ワシントンとニューヨークを含む米国全土が射程圏内に入る。

北朝鮮の国営メディアによると、7月4日に発射した最初のICBMである火星14は39分間飛行して最高高度は2802キロメートル、飛行距離は933キロメートルだった。

7月28日に発射した火星14は約47分間飛行して最高高度は3724キロメートル、飛行距離は998キロメートル。アナリストらの話では、推計される飛行可能距離は1万キロメートル余りで米西海岸が射程圏内に入るとされた。

北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長は「ついに国家核戦力完成という歴史的大業が実現した」と述べた。

だが専門家の間では、どの程度の重量のミサイルを搭載できるかや、米国本土を攻撃できるほどの核弾頭を搭載して飛行できるかどうかは依然としてはっきりしていない、との声も聞かれる。

<場所、時刻>

29日発射されたミサイルは、首都平壌(ピョンヤン)の北方約30キロメートルの地点にある平安南道(ピョンアンナムド)平城(ピョンソン)から打ち上げられた。この地点からのミサイル発射は初めて。

これまでのミサイル発射実験は早朝の時間帯に実施されることが多かったが、今回は現地時間午前2時28分(GMT6時17分)ごろに行われた。

発射の場所と時刻は、北朝鮮がミサイルを「どこからでも、いつでも」を発射できる態勢にあると誇示する狙いが反映されているとみられる。これにより他国はミサイル発射を事前に予想することや、発射を妨害することが一段と難しくなる。

米国を拠点とする戦略国際問題研究センター(CSIS)は「今回の実験は真夜中に実施されたという点で異例であり、恐らく米国の弾道ミサイル防衛システムによる迎撃を回避する北朝鮮の意向が反映されたのだろう」と指摘した。

7月の2回のミサイル実験は平安北道と慈江道から発射されていた。

ロイター
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