ニュース速報

ワールド

ロシアの原油生産が記録的水準、約束の減産控え

2016年12月03日(土)05時09分

 12月2日、ロシアのエネルギー省高官は石油輸出国機構(OPEC)との合意の一環で実施する減産について、11月の国内生産量が基準になるとの認識を示した。バシコルトスタン共和国の石油施設で昨年1月撮影(2016年 ロイター/Sergei Karpukhin)

[モスクワ 2日 ロイター] - ロシア・エネルギー省のモロツォブ副大臣は2日、石油輸出国機構(OPEC)との間で今週合意した原油減産について、ロシアは約30年ぶりの高水準となった今年11月の生産高を減産の起算点とする考えを示した。

記者会見で副大臣は「11月の生産のピークは日量1123万1000バレル」とし「われわれの全ての合意はこの数値を基に形成されていることは明確だ」と述べた。副大臣によると、現状のままで推移すれば12月のロシアの生産高は日量1130万バレルに増えると見込まれるという。

今週まとまったロシアとOPECの2001年以来15年ぶりとなる減産合意では各国ごとの具体的な減産目標が設定され、ほぼ全てのOPEC加盟国が今年10月の生産高を基準に生産を削減することに同意した。ロシアは、原油価格下支えに向けた他の産油国との合意の一部として、2017年の前半にかけて最大で日量30万バレルの減産を徐々に実施すると約束した。

ロシアのノバク・エネルギー相は1日、記者団に対して、11ー12月の生産水準を起算点に使う方針だと語った。アゼルバイジャンやカザフスタン、メキシコ、オマーン、バーレーン、その他OPEC非加盟国も減産合意に参加する可能性があるとし、その際にはロシアと同等の日量30万バレルの減産を各国に期待すると述べた。

ロシア・エネルギー省が2日公表したデータによると、同国の11月の原油生産は平均で旧ソ連時代以来の高水準となる日量1121万バレル。10月と比べて日量で1万バレル増えた。これはロシアとOPECがアルジェリアの首都アルジェで会合を開き、生産制限で予備的に合意する前の8月と比べて日量で50万バレル多い。

11月はロシアの産油大手ルクオイルとスルグトネフチガスが生産量を増やす一方、ロスネフチやガスプロムネフチ、両社の合弁企業であるスラブネフチの生産は落ち込んだ。

ルクオイルのフェダン副社長は記者団に対し「最も大事なことは、われわれは(ロシア全体として)さらに日量20万バレルの増産を計画しているということだ。つまり、(減産分の30万バレルと合わせると)50万バレルが市場には出回らなくなる」と語った。

原油価格の値下がりにもかかわらず、ロスネフチやガスプロムネフチ、ルクオイルは今年に入って新規の油田を立ち上げ、掘削も増やしてきた。

ノバク・エネルギー相は全ての企業が減産に参加すると述べており、詳細は今月10日にもモスクワで開かれるOPEC加盟国と非加盟国の協議に向けて、来週終わりごろには最終決定されると見込まれる。

これについて、ルクオイルのフェダン副社長は、厳しい気候の下で生産量を減らすのは技術的に困難だとして、ロシアの減産は来年の第2・四半期からになるだろうと語った。

ルクオイルがどのように減産に貢献するのかと問われたフェダン副社長は「合意期間中は利益率の低い油田を止めることになるだろう」とした上で「市場が再びバランスするには1年あれば十分だ。バランスすれば、(われわれは)再稼動できる」と述べた。

*内容を追加して再送します。

ロイター
Copyright (C) 2016 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

焦点:トランプ氏政治集会の舞台裏、聴衆はなぜ熱狂す

ビジネス

円全面安が加速、対米ドル以外も10数年ぶりの安値更

ビジネス

日銀、政策金利の据え置き決定 国債買入も3月会合の

ビジネス

特にコメントできることない=日銀会合後の円安進行で
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 10

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中