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円債2300億円積み増しへ、金利上昇で年度5550億円増に修正=富国生命・25年度下期運用計画

2025年10月16日(木)19時00分

 10月16日、富国生命保険は2025年度下期の一般勘定資産運用計画で、円貨建て公社債を積み増す方針だ。写真は円紙幣。2024年7月代表撮影(2025年 ロイター)

Hiroko Hamada

[東京 16日 ロイター] - 富国生命保険は2025年度下期の一般勘定資産運用計画で、円貨建て公社債を積み増す方針だ。超長期金利の上昇を受けて年度計画を5550億円の積み増しに見直し、上期に3250億円増額、下期は2300億円増を予定している。円債の配分を増やした分、外債は上期に4350億円圧縮した。当初見込み通り、日銀は年度内にあと1回の利上げを実施すると予想し、金利見通しも引き上げた。

財務企画部長の森実潤也氏が15日、ロイターとのインタビューで述べた。

円債の残高積み増しは4月時点の年度計画では950億円を予定していたが、その後財政悪化懸念などから超長期金利が想定以上に上昇したため、今回5550億円の増額に計画を見直した。

上期に超長期債を中心とした日本国債(ソブリン)を4450億円増額、クレジットを1200億円圧縮した。下期も引き続き超長期債への投資を中心とし、それぞれ1650億円と650億円積み増す計画。

円債積み増しの資金は、国内超長期債と同程度の利回り3%台前半までの外債を売却した分を充てた。

森実氏は「国内の超長期金利は当初3%程度まで上がると見込んでいたが、3%台前半まで上昇したため、外債の削減幅を拡大して為替リスクを抑制し、安定して収益を確保できる資産に入れ替えた」と説明。為替相場が現在に比べて円高方向にあった際に購入した外債を売却したため、為替差益により円債への入れ替えを円滑に進めることができたという。

外債は上期にソブリンを3750億円、クレジットを600億円減額した。4月時点の計画では残高を維持する方針だったが、10月の年度計画では4000億円の圧縮とした。

下期の運用は円債の残りの積み増しを中心に行う予定で、その他の資産は大きく動かさない方針。外債はすでに年度計画を上回るペースで売却が進んでいるため、下期はソブリンを250億円減額、クレジットで600億円増額とし全体では350億円の増額を見込む。

ただ、森実氏によると「国内の超長期金利が3%台後半や4%程度まで上昇するようであれば、外債の削減幅のさらなる拡大も検討する」という。

日銀の金融政策については、4月時点の年度内2回の利上げ見通しを維持し、来年3月までにあと1回の実施を予想する。政局の不透明感が強く日銀は動きづらいものの、利上げの方向性は変わらないとみている。足元の金利上昇を踏まえ、10年債利回りの予想レンジを1.40―2.00%(4月時点は0.90―2.00%)、年度末は1.80%(同1.70%)に引き上げた。

為替相場は、日米の金融政策の方向性の違いから緩やかな円高をメインシナリオに想定。年度内のドル/円のレンジは135円―160円(同130円―162円)と見込んでいる。

エクイティ資産については、上期に450億円増額、下期も450億円増を予定している。

うち国内株は、「トランプ関税ショック」で4月初旬に日経平均が急落した際に割安な銘柄を積み増し上期は100億円増、下期は200億円積み増す計画。日経平均株価が史上最高値を更新し4万8000円台に乗せるなど株高基調となっているが、予想EPS(1株当たり純利益)も上方修正されているとして割高な水準とはみていないという。

外国株は上期に200億円増額し、下期は100億円増やす方針。活発なAI(人工知能)投資を受けた半導体関連企業の収益増加期待もあり、株式市場は国内外で堅調に推移すると予想している。

PE(プライベート・エクイティ)ファンドなどのオルタナティブは、上期は150億円増額。下期は150億円増やす計画としている。

*25年度下期の相場見通し(レンジと年度末)は以下の通り。

日本国債10年物利回り 1.40―2.00%(年度末1.80%)

日本国債30年物利回り 2.90―3.80%(同3.40%)

米10年債利回り    3.60─4.70%(同4.30%)

日経平均        3万7000─5万4000円(同5万円)

米S&P500     6000─7500ドル(同7000ドル)

ドル/円        135―160円(同145円)

ユーロ/円       157―186円(同168円)

ロイター
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