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ユーロ圏インフレ巡るリスク低下、なお利下げの可能性も=ECB当局者

2025年10月07日(火)08時12分

 10月6日、欧州中央銀行(ECB)当局者は、インフレ率が目標を下回るリスクが高まれば追加緩和の根拠が強まる可能性があるものの、現在の金利水準は適切との見方を示した。写真はECBチーフエコノミストのレーン専務理事。2024年6月、ロンドンで撮影(2025年 ロイター/Anna Gordon)

Balazs Koranyi

[フランクフルト 6日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)当局者は6日、インフレ率が目標を下回るリスクが高まれば追加緩和の根拠が強まる可能性があるものの、現在の金利水準は適切との見方を示した。

ECBチーフエコノミストのレーン専務理事はフランクフルトで行った講演で「リスクバランスの変化はECBの金利判断にも影響する」と指摘。「インフレ率が目標を下回る下振れリスクの発生確率や規模が増す場合、中期的な物価目標の確実な達成に向け、政策金利を小幅に引き下げるのが適切だと主張できる」と語った。

「一方で、インフレ率が目標を上回る上振れリスクの可能性や規模が増すのであれば、短期的には現在の政策金利を維持することが適切であることを示唆している」とも述べた。

ラガルド総裁は、米国との貿易摩擦でユーロ圏のインフレ見通しは通常より不確実性が高い状態が続いているものの、2%の目標を下回るリスクは縮小しているとの見方を示した。

ストラスブールで欧州議会議員に対し「ディスインフレの過程は終わったと言える」と述べた。

デギンドス副総裁はマドリードのイベントで「インフレに対するリスクは均衡しており、物価安定目標が確保されるというわれわれの予測はある程度実現しつつあると言える」と指摘。「最近のインフレ動向を踏まえると、現在の(金利)水準は適切だと考えている」と語った。

金融市場は年内に追加利下げが行われる可能性はほとんどないとみており、ラガルド氏とデギンドス氏の発言はこうした予想を一段と強めた。

ただ、一部当局者は米国の関税による影響がまだ完全に表れていないほか、ユーロ高が輸出業者に打撃を与える一方、全体的なインフレ率をECBの目標を下回る水準に押し下げると懸念している。

レーン氏はユーロ高が今後数年にわたり経済活動とインフレに影響し、為替変動の根本要因が物価への衝撃の大きさを左右するとの見方を示した。

「もしユーロ高が主要貿易相手国の景気減速や、海外金融市場でのリスクプレミアム上昇に伴うポートフォリオの再調整といった外部要因によるものであれば、こうした影響は平均より大きくなるだろう」と述べた。

ロイター
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