ニュース速報
ビジネス

銀行規制修正案、資本要件引き上げ水準緩和へ=FRBバー副議長

2024年09月11日(水)03時27分

米連邦準備理事会(FRB)のバー副議長(金融規制担当)(写真)は10日、銀行の国際的な資本規制(バーゼル3)の最終化実施規制の案と、金融システムに大きな影響を与えかねない大手銀行向けの資本規制を緩和する内容の大幅な修正案に関する概要を明らかにした。2023年5月撮影(2024年 ロイター/Evelyn Hockstein)

[ワシントン 10日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のバー副議長(金融規制担当)は10日、銀行の国際的な資本規制(バーゼル3)の最終化実施規制の案と、金融システムに大きな影響を与えかねない大手銀行向けの資本規制を緩和する内容の大幅な修正案に関する概要を明らかにした。ブルッキングス研究所での講演で明らかにした。

2023年7月に初めて公表されたバーゼル規制の草案は、資産1000億ドル超の銀行が、潜在的な損失の発生に備えるために積み増す必要のある自己資本額の算定を見直すもの。世界の金融システムを安定的に維持するために重要な銀行(GSIB)を対象としたもう1つの規制案は、これらの銀行の資本水準をよりリスクに対応できるようにすることを目的としていた。

バー氏は、全体として、米国の最大手に位置する銀行に関しては約19%の資本要件引き上げを想定していたが、これを9%に引き下げると説明。一方、資産規模2500億ドル以下の銀行はバーゼル規制の対象からほぼ完全に除外されることになる、とも付け加えた。

バー氏は「資本規制の強化には利点がある一方、コスト負担がある。われわれの見直しでは、寄せられた意見を踏まえて、この重要な2つについてよりバランスを取れたものにする」と述べた。

FRBは、昨年、米国の大手銀行が3行破綻した後、大幅な規制強化に踏み切る構えを示し、銀行システムはより安全になると主張してきた。一方、金融業界は、資本の上乗せは必要なく、それに踏み切れば経済を悪化させると反論。FRBなどの規制当局が適切な手続きを踏んでいないとして、規制を止めるために訴訟を起こすことも辞さない姿勢を示していた。

こうした反発を踏まえ、FRBのパウエル議長は、新たな草案を示し、意見公募すべきだとする考えを示していた。しかし、通貨監督庁(OCC)や連邦預金保険公社(FDIC)は11月の大統領選挙前に最終決定したいとして、FRBと意見が対立していると、6月にロイターが報じていた。今回のバー氏の発言は、各機関が今後の方針について合意したことを示している。

バー氏はこれらの規制案の公表時期に触れなかった。ブルームバーグは6日、当局は修正案を今月にも公表する可能性があると報じており、FRBは新たな規制案と同時に影響分析も発表するもよう。対立を背景に議論が長引けば、大統領選までに最終決定されないことになる。規制緩和を訴える共和党候補のトランプ前大統領が返り咲けば、規制案がさらに内容を弱めたり、棚上げされたりする可能性もある。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

仏首相、年金改革を27年まで停止 不信任案回避へ左

ビジネス

米ウェルズ・ファーゴ、中期目標引き上げ 7─9月期

ビジネス

FRB、年内あと2回の利下げの見通し=ボウマン副議

ビジネス

JPモルガン、四半期利益が予想上回る 金利収入見通
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道されない、被害の状況と実態
  • 2
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 3
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 4
    【クイズ】アメリカで最も「死亡者」が多く、「給与…
  • 5
    「中国に待ち伏せされた!」レアアース規制にトラン…
  • 6
    イーロン・マスク、新構想「Macrohard」でマイクロソ…
  • 7
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 8
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 9
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 10
    あなたの言葉遣い、「AI語」になっていませんか?...…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 7
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 8
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ…
  • 9
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 10
    あなたは何型に当てはまる?「5つの睡眠タイプ」で記…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中