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神戸鋼、出荷先の約8割で一定の安全性を確認 海外は26社が未確認

10月26日、神戸製鋼は、過去1年間に出荷した製品を対象に実施していた自主点検と緊急監査によって、新たに4事案で不適切行為の疑いがあると発表した。写真は神戸の本社前で24日撮影(2017年 ロイター/Thomas White)
[東京 26日 ロイター] - 神戸製鋼所 <5406.T>は26日、性能データを改ざんした製品を出荷した525社のうち、約8割の437社で一定の安全性が確認されたと発表した。残り88社のうち、26社は海外の企業だという。今後は、外部専門家だけで構成する「外部調査委員会」が主体となって原因究明や再発防止策を取りまとめることになる。
同社では、A)顧客が安全性に問題ないと確認、B)顧客が当面の問題はないと判断、C)神戸鋼で安全性確度が高いと判断──の3段階で評価し、出荷先525社中、437社について、この3段階で安全性確認が進んでいると説明している。
川崎博也会長兼社長は会見で「複数の自動車メーカーから、安全性については自社の製品基準を満たしている旨を公表いただいている。当社が不適合品を納入した全ての日系自動車メーカを含む19社についても同様のご見解をいただいている」と明らかにした。
<新たに4つの不正事案判明>
過去1年間に出荷した製品を対象に実施していた自主点検と緊急監査によって、新たに4事案で不適切行為の疑いがあることが分かったほか、1事案で不適切行為の有無について確認が必要な案件があった。4事案のなかには、これまで不正のなかった機械部門での案件も含まれている。また、確認が必要な1事案は、鉄鋼の海外事業会社の案件で建築用途だという。
これらについても、現時点で安全性上の問題は確認されていないが、新たに設置する外部調査委員会に報告し、追加点検や調査を進めていくことにしている。
これらを除き、おおむね調査は終了し、即時に使用を停止する、または、直ちに製品を回収することが必要と判明した事案は、現時点で確認されていないという。川崎社長は「今の時点では、契約取り消し等の話は具体的には聞いてないが、例えば、早期の取り換えは必要ないと言われても、将来にわたっては定期交換が必要だという申し出もある」と述べた。
リコールの可能性については「今のところ自動車会社をはじめ、すぐに部品交換しないといけないという話はいただいていないということしか申し上げられない」と述べるにとどめた。
同社は、30日に2017年4―9月期の決算発表を予定している。川崎社長は「業績予想は現時点では見通せていない」としたうえで、「その辺では何らかのコメントをしたい」とした。
外部委員だけで構成する「外部調査委員会」は、26日付で設置。調査は年内の完了を目途としている。メンバーは、委員長に松井巌・元福岡高検検事長、委員に山崎恒・元札幌高裁長官、和田衛・元検事。
川崎社長は、自主点検や緊急監査でこうした不正事案が複数出てきたことについて「これほど、広範囲なものが現認されるとは、私の想像をはるかに超えていた」と述べた。
社内処分や経営責任については「まだまだ安全検証も残っている。今後、原因対策を全力でやる。その後どうするか社内で決め、あるいは外部の意見も参考にして決めたい」と話した。
<一部製品でJIS認証取り消し>
同社の子会社、コベルコマテリアル銅管(KMCT)の秦野工場(神奈川県)の一部製品で日本工業規格(JIS)の認証が取り消された。川崎社長は、認証取り消しの理由について、品質マネジメントに問題があったことと、実際にJIS規格外の製品があったことの2点を挙げた。
認証が取り消されたのは「JIS H3300」。秦野工場には、JISの認証機関である日本品質保証機構(JQA)が再審査に入っていた。銅パイプのうち、JIS認定を受けているのは4割。山本浩司・常務執行役員は「JISマークを付けた製品は販売できなくなる。ただ、JISマークを付けない製品で、同じ物性、機能を持った製品は販売できる」と説明した。
世耕弘成経済産業相は、認証機関に対し、秦野工場以外の工場への再審査の検討を指示している。川崎社長は、現段階で他に違反はないと思うとしながらも「100%かと言われると、あるかもしれないという回答にならざるを得ない」と述べた。
*内容を追加しました。
(清水律子 編集:田巻一彦)