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賃上げ不足、物価を0.2ポイント下押し=日銀展望リポート
7月21日、日銀は、四半期ごとに向こう3年の経済・物価を示す「展望リポート(経済・物価情勢の展望)」を公表し、その中で、人手不足にもかかわらず賃金や物価の上昇ペースが弱い理由について分析した。写真は都内で6月撮影(2017年 ロイター/Toru Hanai)
[東京 21日 ロイター] - 日銀は21日、四半期ごとに向こう3年の経済・物価を示す「展望リポート(経済・物価情勢の展望)」を公表し、その中で、人手不足にもかかわらず賃金や物価の上昇ペースが弱い理由について分析した。賃上げが抑制気味であることが、物価を0.2ポイント下押しするとの試算も示している。
有効求人倍率がバブル期ピークを上回り失業率が3%程度まで低下するなど労働需給はひっ迫しているが、消費者物価指数(除く生鮮、コアCPI)は直近で前年比0.4%の上昇にとどまっている。2%の物価目標を目指す日銀には要因の分析が課題となっている。
日銀では1983年から2013年までの期間と比較して、2013年から2017年までの期間では、有効求人倍率が改善するペースに対して、賃金の上昇が大幅に緩やかになっていることを図示した。
パート労働者の時給は労働需給を反映しやすいが、正社員の所定内給与は労働需給との相関が小さく、代わりにベースアップ率の影響が大きいとした。
また、バブル期に相当する1990年前後と、2010年代後半は、実質賃金の伸びが労働生産性の伸びを下回っている状況にあると指摘。この賃上げ不足が、足元では物価を0.2ポイント下押ししているとの試算も示した。
(竹本能文)