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物価目標は達成可能、マイナス金利下げ否定せず=原田日銀委員

4月13日、日銀の原田泰審議委員は山口県下関市での会見で、2%の物価目標の達成時期は遅れるが、物価目標の達成は可能との見解を示した。写真は日銀本店で昨年3月撮影(2016年 ロイター/Yuya Shino)
[下関市(山口県) 13日 ロイター] - 日銀の原田泰審議委員は13日、山口県下関市での会見で、2%の物価目標の達成時期は遅れるが、物価目標の達成は可能との見解を示した。また、追加緩和の手段に関しては、顕在化するリスクに応じて決めると述べるとともに、マイナス金利の一段の引き下げも、可能でないとは言えないとし、否定しなかった。
<ちゅうちょない追加緩和、逐次投入ではない>
会見で原田委員は、物価目標の達成について「時間はかかるが、需給ギャップの縮小と期待インフレ率の反転で、達成時期は遅れるが、目標達成は可能」と説明した。
その後、日銀公式見解である「2017年度前半の達成が遅れる意味ではない」と釈明した。
原田委員は同日午前の講演で、海外発の市場へのショックなどで日本経済が失速するリスクが顕在化すれば、ちゅうちょなく追加緩和すると述べた。
会見では、1月に日銀がマイナス金利導入による追加緩和に踏み切ったばかりだが
想定外の事象が勃発すれば「何かやった後、すぐにやるのは当然」とし、想定外のショックが「非常に大きければ(追加緩和を)やらなければいけない」と明言。逐次投入しないとの黒田日銀の方針に反するとはいえないとの見解を示した。
<緩和手段、リスクに応じて対応>
さらに追加緩和の具体的な時期や手段をめぐる質問が相次いだ。原田委員は時期については明言を避けたが、仮に追加緩和に踏み切る場合の手段については「顕在化するリスクに応じて決める」と言明。
マイナス金利を今の0.1%からさらに引き下げる可能性については「可能でないとは言えない」と述べた。
<円高の進展、物価上昇圧力を弱める>
円高について、あくまで一般論としたうえで「その分だけ物価上昇圧力を弱めるのは事実」とした。現下の円高の背景として、市場予想よりも慎重な米利上げペースなどを挙げた。「英国など海外経済の不安で、円が買われる可能性もある」と指摘した。
もっとも為替は物価の1つの要因で「価格転嫁の動向を左右するのは景気」であると強調した。
マイナス金利について「『マイナス』との語感がよくない、との声も出ている」と語ったが、資金調達コストを下げるため「前向きに事業を行う方には、必ずプラス効果がある」と強調した。
(竹本能文 編集:田巻一彦)