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タカタ離れ拡大、富士重と三菱自がエアバッグ部品不採用検討

2015年11月05日(木)23時03分

11月5日、最大顧客のホンダに続き、富士重工業と三菱自動車がタカタ製エアバッグ部品を新車に使わない方向で検討していると表明した。自動車各社による採用中止の動きが広がっている。写真は5月8日、東京で(2015年 ロイター/Yuya Shino)

[東京 5日 ロイター] - 自動車各社によるタカタ<7312.T>製エアバッグ部品の採用を中止する動きが広がっている。最大顧客のホンダ<7267.T>に続き、富士重工業<7270.T>と三菱自動車<7211.T>が5日、今後の新車に使わない方向で検討していると表明、両社とも市場に出回っている車の交換用としてもタカタ製を使用しない方針だ。各社のタカタ離れが進めば、同社の経営に大きな打撃になる。

富士重の吉永泰之社長は5日の決算会見で「今後、販売する新型車ではタカタのインフレーター(ガス発生装置)を使用しない方向で検討している」と述べた。また、タカタ製は「納入に時間がかかっている。少しでも早く納入するため、他社製に代えようと思う」とも話し、代替品としても使用を控える方針を示した。

タカタ製インフレ―ターによるリコール(回収・無償修理)は世界で4000万台規模に上り、交換品も供給不足の状態。このため交換品が届くまでエアバッグの機能を停止させる措置にとどめている場合が多く、「お客様の不安な時間が長期化する」(吉永社長)のを避けたいとの思いだ。

三菱自もタカタ製インフレ―ターの使用中止を検討している。不具合の原因が究明できておらず、「顧客の安全を第一に考える必要がある」(広報)とした。

タカタはエアバッグを膨らませるためのガス発生剤として高温多湿に弱い硝酸アンモニウムを使用。米当局はこの硝酸アンモニウムが米国内で死亡事故につながったエアバッグの異常破裂を引き起こした要因とみて、同国内での硝酸アンモニウム使用による受注中止を強く要請。タカタはこれを受け入れ、最大2億ドルの制裁金支払いなどにも合意した。さらには同社の試験データに不適切な報告があったことも発覚。ホンダが国内メーカーとして初めて使用中止を明言した。

マツダ<7261.T>の丸本明副社長は同日の決算会見で「開発車については硝酸アンモニウムを使ったインフレーターは採用しない方向」と話し、硝酸アンモニウムを用いていないタカタ製エアバッグは「是々非々で検討していく」とした。

一方、同日決算会見したトヨタ自動車<7203.T>の早川茂専務役員は「生産中・開発中を問わず、より良いものを採用していきたい」と述べるにとどめ、明言を避けた。ただ、顧客の安全第一で対応するとも語り、「一刻も早く真相を究明する」とした。日産自動車<7201.T>もまだ明確な方針を打ち出していない。

(白木真紀)

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