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ドルは121円前半でしっかり、株価の堅調推移に連れ高
3月11日、午後3時のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点に比べ、ややドル高/円安の121円前半だった。朝方は上値が重く一時121円を割り込んだが、日経平均株価の堅調推移に連れ高となり、正午にかけて121円半ばまで強含んだ。午後は株価がプラス幅を縮め、ドルもじり安となった。写真は、ドル紙幣、2013年撮影(2015年 ロイター/Lee Jae-Won)
[東京 11日 ロイター] - 午後3時のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点に比べ、ややドル高/円安の121円前半だった。朝方は上値が重く一時121円を割り込んだが、日経平均株価の堅調推移に連れ高となり、正午にかけて121円半ばまで強含んだ。午後は株価がプラス幅を縮め、ドルもじり安となった。
朝方のドル/円は、米株式反落の流れを引き継ぎ、弱含みで推移した。「リスク選好的なムードは期待できない」(国内金融機関)とされるなか、一時120.85円まで下落した。
ただ、ドル/円の下押しも限定的だった。安く始まった日経平均が徐々に下げ幅を縮小させ、その後プラス圏にしっかり乗せてくると、ドル/円は連れ高となり正午にかけて121.45円まで上昇した。仲値付近では実需筋の目立ったフローは見られなかったという。
市場では「目先、122円をすぐに回復するとは思わない。日本株は堅調だが、米株の調整がどれだけ長引くのか見極めたいという人は多いのではないか」(邦銀)との声が出ていた。
午後に入って株価がプラス幅を縮小させると、ドルもじりじりと値を下げた。米株が大幅安になったにもかかわらず、日本株は大引けでプラスを維持したが「さすがに米株がきょうも崩れるようなら日本株も崩れかねない」(国内金融機関)との警戒感も出たもよう。
米国では、ドル高が多国籍企業の収益を圧迫することが懸念されている。ダウ工業平均は10日の取引で332ドル下落したが、市場では「ダウはドル高を嫌気した面もある。極端なドル高はリスクオフ要因として受け取られやすく、政府要人からもけん制発言が出てくる可能性があり、注意が必要だ」(国内金融機関)との指摘が出ていた。
前日海外時間には、米政府要人のドル高けん制発言が話題となる場面があった。米大統領経済諮問委員会(CEA)のファーマン委員長は、ドル高は米経済に対する向かい風になるとの見解を示した。
一方、午後には中国での経済指標発表があった。ただ、相場の反応は限定的だった。交易関係の深い豪ドルなどクロス円を通じたドル/円相場への波及、アジア株の反応などに関心が寄せられたが、市場の関心は欧州や米国に向かっていて中国の経済指標への反応は少なくなってきているとの指摘もあった。
中国国家統計局が発表した1─2月の鉱工業生産は前年比6.8%の増加で市場予想(同7.8%増)を下回った。1─2月の小売売上高は前年比10.7%増、1─2月の固定資産投資は前年比13.9%増で、いずれも市場予想(小売売上高:11.7%増、固定資産投資:15.0%増)を下回った。
<ユーロは「反転の兆し見えない」>
ユーロ/ドルは早朝1.0666ドルまで下落し、2003年4月以来、11年11カ月ぶりの安値をつけた。午前9時過ぎにかけて1.0718ドルまで持ち直したが続かず、正午前には安値圏に戻った。
正午過ぎにドル指数が11年半ぶり高水準の98.87まで上伸した場面では、ユーロは海外時間につけた11年半ぶり安値を下回る1.0665ドルに下落した。
来週に米連邦公開市場委員会(FOMC)を控え、金融政策の方向性の違いが意識されており「今はドル買い。何を売るかではユーロが一番かたい選択」(国内金融機関)との声が出ていた。
前日海外時間は、米連邦準備理事会(FRB)が年央にも利上げを行うとの観測が強まりドルが買われた一方、欧州中央銀行(ECB)の量的緩和開始でユーロ圏の国債利回りが低下する中、ユーロが全面安となった。
市場では「ユーロは多少のショートカバーがあってもすぐに売りにつかまって、反転の兆しが見えない。9日の量的緩和開始は織り込まれていたはずだが、実際始まると欧米の金融政策の方向性の違いが意識された」(外為アナリスト)との声が出ていた。
ユーロは、ギリシャ債務問題も重しとなっている。ドイツ銀行は9日付のリサーチ・ノートで、ユーロ/ドルは年末までにパリティの1.0000ドル、2016年末までに0.90ドル、17年末までに0.85ドルに下落するとの予想を示している。
ドル/円
午後3時 121.33/35 1.0687/91 129.68/72
正午現在 121.36/38 1.0683/87 129.66/70
午前9時現在 121.05/07 1.0705/09 129.59/63
NY午後5時 121.13/15 1.0698/00 129.57/61
(為替マーケットチーム)