ニュース速報

ビジネス

機械受注1月は3カ月ぶり減も予測以上にしっかり、設備投資に回復感

2015年03月11日(水)12時33分

 3月11日、内閣府が発表した1月機械受注統計によると、設備投資の先行指標である船舶・電力を除いた民需の受注額(季節調整値)は、前月比1.7%減の8389億円となった。3カ月ぶりの減少。山梨県で2013年7月撮影(2015年 ロイター/Reiji Murai )

[東京 11日 ロイター] - 内閣府が11日に発表した1月機械受注統計によると、設備投資の先行指標である船舶・電力を除いた民需の受注額(季節調整値)は、前月比1.7%減と反動減を主因に3カ月ぶりの減少となった。ただし落ち込みは予測より小幅にとどまり、内容的には企業の設備投資の回復感はむしろしっかりしてきたとの見方が広がっている。

特に加工型製造業からの受注が堅調で、非製造業からの受注は3カ月連続で増加しており、輸出増加や人手不足対応などが後押ししているとの指摘もある。

内閣府は、機械受注の判断を「緩やかな持ち直しの動きがみられる」に据え置いた。

1月の機械受注は前月比1.7%減の8389億円となった。3カ月ぶりの減少。

ロイターの事前予測調査では4.1%減と予想されていたが、これを上回った。前年比では1.9%増だった。

1月は、反動減により単月では減少となったものの、3カ月移動平均で見れば5カ月連続の増加となっており、持ち直しの動きが継続している。昨年7-9月期から2四半期連続の前期比増加となっており、1─3月の見通し1.5増%も、2、3月が各々マイナス2.4%減となっても達成可能と内閣府では試算している。

製造業では、1月11.3%減と2ケタの減少となったものの、12月の24.1%増という高い伸びの後にしては、落ち込みはそれほど大きくなかった。

落ち込みが大きかったのは、その他製造業や自動車関連、その他輸送用機械など。これらの業種では、反動減による落ち込みがみられたことからも、単月の振れとみられる。

1月の鉱工業生産でも、設備投資と連動性が高い資本財の生産・出荷が高い伸びを示していることから、企業の設備投資が国内回帰により回復傾向を強めるとの期待も一部にある。

非製造業からの受注は3カ月連続で増加し、昨年末までの回復の遅れからの反転が鮮明となっている。農林漁業からの農林用機械や、運輸・郵便業からの道路・鉄道車両、通信業からの通信機などが増加に寄与。

外需は2ケタ増。100億円以上の大型案件の受注も6件含まれている。外需は昨年春以降減少傾向が続いてきたが、足元でようやく底打ちから増加に転じつつある模様。

市場関係者の間では、「全体としては回復の動きが続いていると見て良いだろう」(BNPパリバ証券)と受け止められている。中には、機械受注が回復傾向を強めているとの前向きな見方もあり、「設備投資の循環的回復加速、そして構造的な回復要因として、人手不足と設備不足が挙げられる」(SMBC日興証券)といった分析もある。

「足元では円安効果が発揮されて輸出数量の増勢が強まっていることもあり、機械受注なども徐々に堅調さを増していく」(農林中金総合研究所)といった予想が少なくない。

機械受注統計は機械メーカーの受注した設備用機械について毎月の受注実績を調査したもの。設備投資の先行指標として注目されている。

*脱字を修正して再送します。

(中川泉 編集:野村宏之)

ロイター
Copyright (C) 2015 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ノババックス、サノフィとコロナワクチンのライセンス

ビジネス

中国高級EVのジーカー、米上場初日は約35%急騰

ワールド

トランプ氏、ヘイリー氏を副大統領候補に検討との報道

ビジネス

米石油・ガス掘削リグ稼働数、3週連続減少=ベーカー
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    横から見れば裸...英歌手のメットガラ衣装に「カーテ…

  • 5

    ブラッドレー歩兵戦闘車、ロシアT80戦車を撃ち抜く「…

  • 6

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 7

    アメリカでなぜか人気急上昇中のメーガン妃...「ネト…

  • 8

    「終わりよければ全てよし」...日本の「締めくくりの…

  • 9

    地下室の排水口の中に、無数の触手を蠢かせる「謎の…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 5

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 6

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 9

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 10

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中