コラム

ワシントン毛沢東シンポ報告――映し出した危機感と無防備

2016年09月26日(月)19時19分

 まさにネット時代。この背後の動きが面白くて筆者も興味を持ち、さらに聞いたところ、プライムニュースの正式なページは登録しないと見られないが、日本のネットユーザーの「 >TRD日本ちゃんねる」がアップしているユーチューブを送ってくれて中国語で解説してくれたので、よく分かったというのである。

 それにしても、なぜ日本は「中国政府の代弁者」を頻繁にテレビに出して中宣部の「舌と喉」を日本中にまき散らして日本人を洗脳することに手を貸しているのかと、痛いところを突かれた。

毛沢東と藩漢年の直接のやり取り

 そこで、責任上、今回は、毛沢東がいかに潘漢年と直接連絡を取り合っていたかを、中共中央文献研究所が編集した『毛沢東年譜』によって、少しだけ説明を加えておきたい。主として毛沢東が藩漢年に直接打電した日時と主たる内容を列挙する。

●1936年8月25日:毛沢東、潘漢年に打電。このとき潘漢年を「中国共産党と南京国民党当局との談判代表」に指名し、蒋介石との交渉に当たらせた。

●1936年8月26日:毛沢東、潘漢年に打電。(西安事変をのちに起こす)張学良を説得せよ(潘漢年と周恩来が同時に行動することを10月5日に命じている)。

●1936年10月10日:毛沢東、潘漢年に打電。

●1936年12月10日:毛沢東、潘漢年に打電。(西安事変の二日前)

●1936年12月19日:毛沢東、潘漢年に打電(西安事変の条件闘争を指示)。

●1936年12月21日:毛沢東、潘漢年に打電(西安事変の条件闘争を指示)。

●1937年1月9日:潘漢年が周恩来とともに南京政府の蒋介石と会い、毛沢東の手紙を持って行く時の、その手紙の内容に関して打ち合わせ。

●1937年1月21日:毛沢東、周恩来とともに、潘漢年に打電。

●1937年1月22日:毛沢東、周恩来とともに、潘漢年に打電。蒋介石への要求を明示(国共合作に向けて)。

●1937年1月26日:毛沢東、周恩来とともに、潘漢年に打電。蒋介石への要求を明示(国共合作に向けて、さらに具体的に)。

●1937年1月27日:毛沢東、潘漢年に打電し、張学良の扱いに関して指示。

●1937年1月29日:毛沢東、周恩来とともに潘漢年に打電。

●1937年2月4日:毛沢東、潘漢年に打電。紅軍の扱いに関して指示。

●1937年4月11日、5月1日、6月26日、9月25日......:毛沢東、潘漢年に打電。

 このように毛沢東は、張学良に西安事変を起こさせて、滅亡寸前にあった中共軍を窮地から救い、国共合作によって中共軍を生きながらえさせるという巨大な任務を、すべて潘漢年に指示して実行させてきたのである。

プロフィール

遠藤誉

中国共産党の虚構を暴く近著『毛沢東 日本軍と共謀した男』(新潮新書)がアメリカで認められ、ワシントンDCのナショナル・プレス・クラブに招聘され講演を行う。
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』『チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男』『完全解読 中国外交戦略の狙い』『中国人が選んだワースト中国人番付 やはり紅い中国は腐敗で滅ぶ』『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』など著書多数。

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