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ウクライナ戦争

全身やけど、失明、片足を失っても...ウクライナ負傷兵たちが失わなかった「人間らしさ」

Dauntless Soldiers

2026年3月19日(木)19時17分
横田 徹 (戦場ジャーナリスト・カメラマン)

現在、27歳のイゴール・パペンコは国境警備隊の教育機関で心理学を学び、国境警備隊の将校として任務に就いていた。ロシアの侵攻後、内務省管轄下でミコライウに派遣された。

「海岸沿いにあった陣地内の建物で休憩中に爆撃を受けて、私の部屋が炎に包まれた。近くの病院に搬送されたが、私は意識を失っていて、より専門的な治療が必要となったのでオデーサの病院へ移された」と、イゴールは言う。「意識が戻った後、一番怖かったのは呼吸ができなかったことだ。喉の内部も激しくやけどを負っていた」


「困った人を助けたい」

オデーサの病院で3カ月間の治療を受けたイゴールは、より専門的な治療とリハビリを受けるためにスペインの病院へ送られた。呼吸機能の回復を目的に2年半にわたり治療を受けたが、あまり効果は得られなかったという。つらいリハビリを支えてくれたのは母親と妹の存在だ。

「事故があった2週間後に母がオデーサの病院に来てくれた。顔を見ることはできなかったが、気丈に振る舞っていた。母と妹はスペインにも同行し、ずっとそばで付き添ってくれた。長くつらい期間を耐えることができたのは家族の支えがあったからだ」

ではなぜ、俳優として演じることに興味を持ったのか?

「以前は演劇や芸術には興味がなかった。でも劇団の監督に会い、彼が『やる気』を与えてくれた。気分が落ち込む時もあるが、リハーサルに来ると参加している皆が素晴らしく、インスピレーションを与えてくれる。落ち込んだ気分も吹き飛ぶ。振付師のオリガは人の強みを見つけて正しい方向へと導いてくれる」

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