Z世代の蜂起が政権を倒した――ネパールでラッパー政治家が率いる新党が圧勝した理由
Shah Raps, Nepal Claps
計算されたイメージ戦略
シャーの人気は偶然の産物ではない。首都カトマンズの市長時代、彼は意図的に神秘的なイメージをつくり上げた。メディアとの接触を避け、市民との交流もソーシャルメディア上で散発的に行うのみという対応が強烈なオーラを生み、有能で実直な行政官という評判を築いた。
投票率は通常よりやや低い約60%だったが、この選挙結果は変化を求める有権者の強い思いの表れと言える。投票率の低下は、既成政党に幻滅した支持者が投票所に行かなかったためかもしれない。
ただし、RSPの躍進にはシャーのイメージ戦略以外にも複数の要因があった。
変化を切望する声は長年、水面下でくすぶっていた。国民は旧来の政治家──特に何十年間も権力を握ってきた主要3政党の指導者層──に不満を募らせていた。政権が代わっても、同じような顔触れが首相の座に返り咲くだけという状況が続いていたためだ。
その結果、政治は停滞し腐敗が蔓延し、説明責任は果たされず、若者は政治に幻滅した。Z世代の蜂起はそんな不満が爆発した出来事だった。
総選挙を経て、二大政党のネパール会議派と統一共産党は劇的に弱体化した。1990年の民主化以降、両党による支配が続いていたネパール政治にとっては重大な変化だ。





